刑事判例

児童ポルノをインターネット・オークションの落札者にあてて外国から郵送した行為が,「不特定の者に提供する目的で《外国から輸出したものといえるとされた事例判例タイムズ1289号 [2009年4月15日号]

http://d.hatena.ne.jp/okumuraosaka/20090414#1239630713私は、判例時報2032号160ページ以下に掲載されているものを読みましたが、弁護人であった奥村弁護士の上記エントリーが参考になります。 最高裁(平成20年3月4日最高裁第二小法廷決定)は…

防衛医大教授に逆転無罪=電車内痴漢「慎重な判断を」−事件捜査に影響も・最高裁

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090414-00000079-jij-soci 判決で同小法廷は「客観証拠が得られにくい満員電車内の痴漢事件では、特に慎重な判断が求められる」と言及。今後の事件捜査や起訴判断に影響を与えそうだ。 教授は2006年4月19日午前8時ごろ…

催涙スプレー携帯で逆転無罪 最高裁

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090326-00000590-san-soci 軽犯罪法は「正当な理由なく刃物や鉄棒その他、人の生命を害し、又は人の身体に重大な害を加えるのに使用されるような器具を隠して携帯していた者」を罰すると規定している。裁判を通して、争…

組織犯罪処罰法上の犯罪収益に関する最高裁決定(平成20年11月4日第三小法廷・判例時報2025号158頁)

実行行為に着手する前に取得した前払い代金等につき事実を仮装した場合であってもその後の着手等による犯罪成立により組織犯罪処罰法上の仮装罪が成立する、とされているほか、罪となるべき事実の摘示として欠けるところはないこと、追徴金額につき支出され…

被告人が、自らの暴行により相手方の攻撃を招き、これに対する反撃としてした傷害行為について、正当防衛が否定された事例(最高裁平成20年5月20日第二小法廷決定)

正当防衛:「先に手を出し反撃され攻撃」は認めず 最高裁 http://d.hatena.ne.jp/yjochi/20080531#1212164198でコメントした最高裁決定ですが、判例時報2024号159頁以下に掲載されていました。 自招侵害に対する正当防衛が認められないとしても、その…

強盗致傷の非行事実を認定して少年を中等少年院送致とした家庭裁判所の決定が、抗告審で事実誤認を理由に取り消されて差し戻された場合において、検察官の申し出た証拠を取り調べずに、非行なしとして少年を保護処分に付さなかった受差戻審の決定に法令違反はないとされた事例(最高裁第三小法廷平成20年7月11日決定)

判例時報2021号157ページ以下に掲載されていました。大阪地裁所長(当時)が、いわゆるオヤジ狩りの被害に遭い重傷を負ったという強盗致傷事件に関するものです。本ブログでも、過去に、少年を中等少年院送致 大阪地裁所長襲撃事件で大阪家裁 http://…

火災原因の調査、判定に関し特別の学識経験を有する私人が作成した燃焼実験報告書につき、刑訴法321条3項は準用できないが同条4項の書面に準じて同項により証拠能力が認められるとされた事例(最高裁平成20年8月27日第2小法廷決定)

判例時報2020号160ページ以下に掲載されていました。 刑事訴訟法では、英米法の強い影響下で、伝聞証拠(事実認定を行う裁判所の面前における反対尋問を経ない供述証拠)が原則、証拠能力を有しないものとされ、その一方で例外も広く認められています…

長銀粉飾決算事件上告審判決(最高裁第二小法廷平成20年7月18日判決)

以前、http://d.hatena.ne.jp/yjochi/20080718#1216370081 http://d.hatena.ne.jp/yjochi/20080719#1216428532などでコメントしたことがありますが、判例時報2019号10ページ以下に掲載されていました。 今後も、時代の節目で、従来の取り扱いが改めら…

隠し撮り:ズボンの女性の尻撮影も有罪 最高裁が上告棄却

http://mainichi.jp/select/today/news/20081113k0000e040037000c.html 道条例は他都府県の条例と同様に「公共の場所で人を著しく羞恥(しゅうち)させるような卑わいな言動」を禁じている。小法廷は「被告の行為が『卑わいな動作』であることは明らかで、被…

犯罪捜査に当たった警察官作成の書面が証拠開示の対象になり得るとされた事例(最決平成20年6月25日・判例時報2014号155ページ)

検察官は、私費で購入した単なる個人的メモである、として、裁判所による提示命令にすら従わなかったものでしたが、最高裁は、1 犯罪捜査に当たった警察官が犯罪捜査規範13条に基づいて作成した備忘録であって、捜査の経過その他参考となるべき事項が記載…

]「心神喪失」で有罪はダメ…「鑑定尊重を」最高裁初判断

http://d.hatena.ne.jp/yjochi/20080426#1209186504でコメントした最判平成20年4月25日ですが、判例時報2013号156ページ以下に掲載されていたので、読んでみました。判例時報のコメントがかなり長いのですが、コメントのほうも(コメントのほう…

<危険運転致死罪>赤信号殊更無視「従う意思なければ該当」

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20081018-00000074-mai-sociボツネタ経由で知りました。なかなか興味深い判例ですね。 弁護側は「『殊更に』の要件を満たすには、赤信号の明確な認識が必要」と指摘。赤かどうかはっきり分からず、「赤でも構わない」と思…

KSD関連元労働大臣収賄事件上告審決定(最高裁第三小法廷平成20年3月27日決定・判例時報2012号148頁)

判例時報では、「参議院議員が、本会議における代表質問においてある施策の実現のため有利な取り計らいを求める質問をされたい旨の請託を受け、さらに、他の参議院議員を含む国会議員に対し国会審議の場において同旨の質疑等を行うよう勧誘説得されたい旨の…

労役場留置期間を定めるに当たり1日に満たない端数を生じる換算率を定めることと刑法18条4項(最一決平成20年6月23日・判例時報2010号155頁)

刑事事件で罰金が納付できない場合、労役場で労役に従事する、という制度になっています(要するに働いて償う、ということですね)。労役場留置期間の上限は、罰金では2年までなので、脱税事件などで罰金額が巨額にのぼる場合、2年くらいなら労役場に入っ…

正当防衛に当たる暴行及びこれと時間的、場所的に連続して行われた暴行について、両暴行を全体的に考察して一個の過剰防衛の成立を認めることはできないとされた事例(最高裁平成20年6月25日決定・判例時報2009号149ページ)

事案の内容は省きますが、要するに、急迫不正の侵害行為が止んだ後に、さらに暴行を加えた場合、止む前の暴行と止んだ後の暴行を、どこまで一体として捉えるべきか、捉えるべきではないか、ということについて、具体的な事案の中ではあるものの、最高裁が判…

薬害エイズ厚生省事件平成20年3月3日最高裁決定(厚生省薬務局生物製剤課長であった者につき業務上過失致死罪の成立が認められた事例)

判例時報2004号158ページ以下に掲載されていたので、一通り読んでみました。上記のような立場にあった被告人の不作為について刑事責任が問われたという点で、従来にはない特異性があり、それだけに注目されてきた事件でしたが、決定中、最高裁が刑事…

ビデオ撮影:容疑者特定目的なら適法捜査 最高裁が初判断

http://d.hatena.ne.jp/yjochi/20080421#1208708974でコメントした判例ですが、判例時報2006号159ページ以下に掲載されていました。最近、話題のグーグル「ストリートビュー」にも通じる面があって、なかなか興味深い判例であると感じ、コメント欄を…

ほう助犯の追徴、報酬分に限定=麻薬特例法で初判断−最高裁

http://d.hatena.ne.jp/yjochi/20080423#1208905559とコメントした判例ですが、判例時報2005号149ページ以下に掲載されていました。ついているコメントが丁寧でわかりやすく参考になると思いました。 追徴分というものは、対象者にお金がなければ取り…

覚せい剤:海上回収失敗は密輸予備罪 最高裁判決

http://d.hatena.ne.jp/yjochi/20080305#1204673813でコメントしましたが、判例時報2003号159ページ以下に掲載されていました。 上記のエントリーでもコメントしたように、実行の着手をどこで認定するかは、刑事責任に大きく影響するだけに重要な問題…

正当防衛:「先に手を出し反撃され攻撃」は認めず 最高裁

http://mainichi.jp/select/jiken/news/20080522k0000e040064000c.html 2審・東京高裁判決によると、被告は05年11月、東京都府中市の路上で50代男性と口論になり拳で顔を殴った。自転車で追いかけて来た男性に後ろから首周辺を腕で強くぶたれたため、…

「心神喪失」で有罪はダメ…「鑑定尊重を」最高裁初判断

http://www.asahi.com/national/update/0425/TKY200804250324.html 第二小法廷は判決の中で「専門家である精神科医の意見は、公正さや能力に疑いがあったり、鑑定の前提条件に問題があったりするなどの採用できない事情がない限り、十分に尊重するべきだ」と…

ほう助犯の追徴、報酬分に限定=麻薬特例法で初判断−最高裁

http://www.jiji.com/jc/c?g=soc_30&k=2008042200081 麻薬特例法は薬物犯罪収益について、全額を没収または追徴しなければならないと規定。複数の共同正犯がいる場合、それぞれから収益の全額を追徴することが一般的となっている。 同小法廷は「ほう助犯は犯…

ビデオ撮影:容疑者特定目的なら適法捜査 最高裁が初判断

http://mainichi.jp/select/jiken/news/20080418k0000m040155000c.html 京都府警は、現金引き出しの際に撮影された防犯ビデオの人物の風ぼうや所持品と照合するため、被告を公道上やパチンコ店でビデオ撮影したり、ごみ袋からダウンベストや腕時計を押収した…

刑法105条の2にいう「威迫」の方法(最高裁第三小法廷平成19年11月13日決定・判例時報1993号160頁)

暴行罪で起訴された被告人が、1審公判で証言した証人に対し、公判係属中、不安、困惑の念を生じさせる文言を記載した文書を郵送して閲読させたという行為につき、証人威迫罪が問題となった事案について、 刑法105条の2にいう「威迫」には、不安、困惑の…

第一審裁判所で犯罪の証明がないとして無罪判決を受けた被告人を控訴裁判所が勾留する場合と刑訴法60条1項にいう「被告人が罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由」の有無の判断(最高裁第三小法廷平成19年12月13日決定)

判例時報1992号152ページ以下に掲載されていましたが、この判例については、http://d.hatena.ne.jp/yjochi/20071215#1197684397で若干コメントしたことがあります。 判例時報のコメントでは、平成12年の最高裁決定(東電OL殺人事件に関するもの)…

厚生省の元課長、上告棄却 有罪確定へ 薬害エイズ

http://www.asahi.com/national/update/0304/TKY200803040310.html 第二小法廷は当時の状況について(1)非加熱製剤にHIVに汚染されたものが相当含まれ、使えば感染して多数の者が死ぬと予測できた(2)危険性の認識が関係者に共有されておらず、医師や…

覚せい剤:海上回収失敗は密輸予備罪 最高裁判決

http://mainichi.jp/select/today/news/20080304k0000e040054000c.html 密輸船が覚せい剤を海上に投下し、別の船が回収して国内に持ち込む「瀬取り」取引を巡り、密輸の着手がいつなのかが争われた上告審判決で、最高裁第3小法廷は4日、「荒天で覚せい剤に…

強盗強姦罪の成否に関する事実認定が争われた事例(最高裁第一小法廷平成19年10月10日決定)

判例時報1988号152ページ以下に掲載されていました。決定が出た当時、インターネットのニュースなどで報じられているのを見た記憶があり、興味を感じて、一通り読んでみました。 事案の中で、強姦罪の成立については争いがなく、「強盗」の犯意、行為…

有罪認定に必要とされる立証の程度としての「合理的な疑いを差し挟む余地がない」の意義は、状況証拠による事実認定をすべき場合であっても異ならないとした最高裁判例(平成19年10月16日第一小法廷決定)

先に、http://d.hatena.ne.jp/yjochi/20071022#1192985740でコメントしましたが、判例時報1988号159ページ以下に掲載されていました。 先のエントリーで、私はうかつにも見落としていましたが、判例時報のコメントで紹介されているように、昭和48年…

廃棄物の処理を委託した者が未必の故意による不法投棄罪の共謀共同正犯の責任を負うとされた事例

判例時報1989号160ページ以下に掲載されていました。以前、未必の故意でも共謀成立=最高裁が初めて明示−不法投棄で業者の有罪確定へ http://d.hatena.ne.jp/yjochi/20071117#1195264986で、若干コメントしたことがあります。 その際のコメント(「特…