KSD関連元労働大臣収賄事件上告審決定(最高裁第三小法廷平成20年3月27日決定・判例時報2012号148頁)

判例時報では、「参議院議員が、本会議における代表質問においてある施策の実現のため有利な取り計らいを求める質問をされたい旨の請託を受け、さらに、他の参議院議員を含む国会議員に対し国会審議の場において同旨の質疑等を行うよう勧誘説得されたい旨の請託を受けて金員を受領したことが、その職務に関し賄賂を収受したものとされた事例」と紹介されています。
判例時報のコメントでは、

本決定は、議員や委員会における質疑・意見陳述等を他の同僚議員に働き掛けることについて、法案審議の係属の有無等とは無関係に、参議院議員の職務ないしこれに密接に関係する行為に当たることを肯定した初めての最高裁の判断として注目される。

として、著名な大阪タクシー汚職事件との整合性等が丁寧に説明されていて参考になります。
いわゆる「族議員」の場合、その政治力に期待される中で、本件のように、法案審議の係属の有無等とは無関係に他の同僚議員に働きかけることが含まれる場合は少なくないと思われます。従来は、単なる政治活動であって議員の職務とは無関係である、とされがちであった部分を「職務行為」「職務密接関連行為」として取り込んだ本決定は、今後のこの種事件の捜査、公判に大きく影響する可能性が高いという印象を受けました。