ビデオ撮影:容疑者特定目的なら適法捜査 最高裁が初判断

http://mainichi.jp/select/jiken/news/20080418k0000m040155000c.html

京都府警は、現金引き出しの際に撮影された防犯ビデオの人物の風ぼうや所持品と照合するため、被告を公道上やパチンコ店でビデオ撮影したり、ごみ袋からダウンベストや腕時計を押収した。
被告側は「プライバシー侵害の違法な捜査」と主張したが、小法廷は撮影を「被告を疑う合理的理由があり、犯人特定の資料入手のため、必要な限度で他人から観察されるのを受忍すべき場所で撮影した」と判断。ごみ袋からの押収も「占有を放棄しており刑事訴訟法が押収を認める遺留物に当たる」と、適法な捜査と結論づけた。

決定の内容は

http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?action_id=dspDetail&hanreiSrchKbn=02&hanreiNo=36292&hanreiKbn=01

で見られます。
「任意捜査の限界」として語られる分野ですが、従来の最高裁判例では、証拠確保の「緊急性」が高いケースについて語られていて、警察によるこの種の捜査活動のうち、緊急性は高くないものの必要性や相当性が肯定されれば適法とされる余地がありそうなものについて、基準を明示した判例がない、という面があったように思います。
その意味で、一般的な基準まで提示したものではなく一種の事例判断とはいえ、最高裁が、この種の捜査手法について適法とする理由を述べつつ、適法性の限界を画そうとする姿勢を示していることは、注目されるように思います。
今後、最高裁が、この種の捜査手法について、「違法」と判断するケースが出てくれば、適法・違法の境目がより明確になるでしょう。
その意味で、重要度が高い判例ではないかと思います。