スピード違反測定装置の「誤差」訴訟、高裁に差し戻し

http://www.asahi.com/national/update/0423/TKY200704230238.html

検察側は、装置は実際の速度よりも低い数値になる「マイナス誤差」しか生じないと主張したが、二審判決は「プラス誤差がないという客観的な裏付けがない」とし、測定値が正確とは認められないと判断。男性の違反は反則行為(30キロ未満の違反)と認定した。反則行為について起訴するには道交法上、反則金の通告などの手続きを経ることが必要だが、それがなかったため、起訴そのものが無効だとした。
しかし、第一小法廷は、有罪とした一審段階では、装置の取り扱い説明書や証人の供述などから「プラス誤差は生じないことが一応立証されている」と指摘。「検察官の立証がなお不十分だと考えるなら、追加立証の請求を促すなど審理を尽くすべきだった」と述べ、第1回公判で結審して判決を言い渡した二審判決は「破棄しなければ著しく正義に反する」と結論づけた。

指宿教授のブログでも取り上げられており、そこでリンクされていた判決文も読んでみました。

http://imak.exblog.jp/5472942/

確かに、1審判決には一応の根拠があり、それを覆すという正反対の結論を出す以上、高裁として、検察官に対し立証を促す程度のことはすべきであった、と言えるでしょう。不利益な判断を受ける、あるいは受ける可能性がある当事者に対しては、主張、立証を尽くす機会を与える、不意打ちしない、というのは、民事、刑事を問わず、訴訟の基本原則でしょう。
ここまで極端な「審理不尽」は珍しいと思いますが、基本に忠実な訴訟運営ということについて、最高裁が警鐘を鳴らした、という見方もできると思いますし、これが「検察官」でなく「弁護人」の場合であっても、同様の取り扱いがなされるべきだろうという印象も受けました。