GPS捜査違法 最高裁「プライバシー侵害」立法措置必要

http://mainichi.jp/articles/20170316/k00/00m/040/094000c?inb=ys

大法廷はGPS捜査の特性を「個人の行動を継続的、網羅的に把握し、プライバシーを侵害する。機器をひそかに装着することは公権力による私的領域への侵入に当たる」と指摘。令状主義を定めた憲法35条の保障対象に「私的領域に侵入されることのない権利」が含まれるという初判断を示した上で、「GPS捜査は憲法が保障する重要な法的利益を侵害し、令状が必要な強制捜査に当たる」と認定した。
容疑者に令状を事後提示するなどという条件付きで検証令状を取得して捜査した例もあるが、大法廷は「容疑とは関係ない行動の把握を抑制することができず、原則とされる令状の事前提示もできない。適正手続きの保障の観点から問題が残る」と指摘。「これらの問題を解消する手段の選択は第1次的には立法府に委ねられている」としつつ、「刑訴法に規定された令状の発付には疑義がある」と述べ、立法措置を促した。

私は、判決前に、

http://d.hatena.ne.jp/yjochi/20170222#p2

最高裁はこうしたGPS捜査を一律に強制捜査、任意捜査のどちらかに振り分けるのではなく、強制、任意について一定の基準を設けて、強制にわたる場合は検証許可状によるべきとするのではないかと思います。ただ、その基準が厳しいもので、令状によるべきケースがかなり増えれば、捜査機関への負担は大きくなるでしょうし、通信傍受のように特別な立法によったほうがより良いという方向へ進む可能性もあるでしょう。

とコメントしていたのですが、判決では明確に強制捜査であると認定しており、思い切った判断をしたものであるという印象を受けました。現行法制上の、検証許可状によるこの種捜査についても疑念を呈していて、事実上、立法措置を講じない限りはGPS捜査はできない状態になったと言えるでしょう。
ただ、この種の、客観的なデータを取得する捜査手法は、冤罪を防止し真相を解明する上で不可欠な面があり、今後は早急に立法措置を講じて、真相解明と人権保障のバランスを図りつつ、必要な捜査が遂行できるようにしておく必要があると思います。問題となっているテロ対策のためにも、その種の捜査が適法、妥当に行える道筋をきちんとつけておくべきでしょう。