最高裁、開発現場に配慮 暗号資産「採掘」プログラムで逆転無罪

最高裁、開発現場に配慮 暗号資産「採掘」プログラムで逆転無罪(毎日新聞) - Yahoo!ニュース

20日最高裁判決は、不正プログラムに当たるのかどうかを判断する際に、捜査当局に複数の要素を考慮するよう求めた。日進月歩のインターネット社会で一律に厳格な線引きを求めれば、技術革新の足かせとなる恐れもある。プログラム開発の現場に一定の配慮をし、緩やかな判断基準を示したとも言える。

いわゆるウイルス罪については、本ブログで何度か取り上げていて、過去には

yjochi.hatenadiary.com

でコメントしたこともあります。

その際に引用した立法担当者による解説でも、「不正」については、

プログラムによる指令が「不正な」ものに当たるか否かは, その機能を踏まえ,社会的に許容し得るものであるか否かという観点 から判断することとなる。

とされていて、健全な常識に基づく社会的許容性の判断が予定されていました。しかし、その後の捜査実務では、「意図に反する(反意図性)」へ過度に目が向けられ過ぎてきた傾向があり、それ故の過剰取り締まりが高じて、今回のコインハブ事件へとつながった面があるように思います。

今回の最高裁判決は、不正かどうかを判断する上で、技術の中身や他の同種技術との比較など幅広く目を向けつつ、社会的許容性を的確に判断することを求めていると言えるでしょう。

そういった意味で、先例として価値ある、有益な判決であるという印象を受けます。