「刑訴法328条により許容される証拠は厳格な証明が必要とした最高裁判決」

http://d.hatena.ne.jp/okaguchik/20061109/p10

専門的な話になってしまいますが、刑訴法328条で証拠能力が認められる証拠について、「自己矛盾」供述(簡単に言うと、ある人物が、異なる機会に矛盾した供述をしているという証拠)に限られるか、それに限定されないかは、争いがあるところで、高裁レベルでは、近時、自己矛盾供述に限定する傾向が一般的だったものの、今回の最高裁判決に引用されているような、限定しない古い高裁判例もあり、最高裁の判断が示されずに現在に至っていたところであったと思います。
上記のような状況で、今後の刑事実務に与える影響は大きくないと思いますが、最高裁の判断が示されたことの意義は小さくないでしょう。

追記:

上記の最高裁判決では、「刑訴法328条は,公判準備又は公判期日における被告人,証人その他の者の供述が,別の機会にしたその者の供述と矛盾する場合に,矛盾する供述をしたこと自体の立証を許すことにより,公判準備又は公判期日におけるその者の供述の信用性の減殺を図ることを許容する趣旨のものであり,別の機会に矛盾する供述をしたという事実の立証については,刑訴法が定める厳格な証明を要する趣旨であると解するのが相当である。」とされており、「別の機会に矛盾する供述をしたという事実の立証については,刑訴法が定める厳格な証明を要する趣旨であると解するのが相当である。」という部分については、自己矛盾供述についての立証の余地をそこまで限定すべきか、328条の立法趣旨に沿うのか、やや疑問を感じます。