http://www.47news.jp/CN/201102/CN2011021101000441.html
調書は事件への村木さんの関与を認めた内容。元検事側は「冤罪だと分かっていながら改ざんしたわけではなく、逮捕、起訴しただけの根拠があった」として情状面を主張する考えだ。検察側も証拠採用に同意する方針。一方、村木さんは不当な逮捕、起訴だったと訴えているだけに、反発を呼ぶ可能性もある。
関係者によると、提出するのは、部下だった元係長(41)=公判中=や上司らの調書。村木さんの公判で大阪地裁は「取り調べに誘導の可能性がある」として採用しなかった。
最高検としては、村木さん事件の起訴の正当性は何が何でも死守しないと、今後の国家賠償請求訴訟で敗訴したり、更なる処分対象者が出るなど、ますます深手を負うことになりますから、これ以上防御ラインは後退させられないでしょう。
一方、前田元検事の弁護人としては、そういった検察ストーリーに乗ることで、情状面で有利になるという側面がありますから、乗れるところは乗る、という方針なのでしょう。そういった弁護方針自体はわかる気がします。
ただ、上記の記事にもあるように、採用されようとしている調書は、検察ストーリーに沿って無理やり作り上げられたもので、そういった経緯自体が、特別公務員暴行凌虐罪などの犯罪すら構成しかねない、極めて問題があるもので、そういうものがあることが、「冤罪だと分かっていながら改ざんしたわけではなく、逮捕、起訴しただけの根拠があった」などという認定に結び付くようでは、国民感情としては到底納得できないでしょう。
1つの方法としては、刑訴法326条1項で、
検察官及び被告人が証拠とすることに同意した書面又は供述は、その書面が作成され又は供述のされたときの情況を考慮し相当と認めるときに限り、第321条乃至前条の規定にかかわらず、これを証拠とすることができる。
と定められ、裁判所は、「その書面が作成され又は供述のされたときの情況を考慮し相当と認めるときに限り」証拠として採用できるわけですから、そういうデタラメな調書は採用できないと蹴飛ばす、ということは十分検討されるべきでしょう。
今後の裁判所の対応が大きく注目されると思います。