日本刑法学会第90回大会(2日目)

http://www.clsj.jp/sir/90/index.htm

昨日に引き続いて参加しましたが、特に印象に残ったのは、午後のワークショップの中で参加した、「取調べの録音・録画」でした。私も、少し発言しました。
時間の関係で言えなかった部分も含めて言うと、私自身は、取調べの可視化というものは、権利というよりも、むしろ、政策、制度として適正に設計されるべきものと考えていて、基本的には全面可視化して取調べの全過程が検証できるものであるべきだと考えていますから、被疑者が嫌がったから簡単にやめてしまう、というものではなく、録音・録画が停止されるのは、あくまで例外で、その際には、弁護人の取調べへの立会が必須とされるべきではないかと考えています。
ワークショップの議論の中でも、可視化による真相解明機能の低下、ということが指摘され、それは、私の経験からも、一定の低下は避けがたいと思うのですが、可視化というものは、虚偽自白や冤罪防止という、より大きな利益のために行われるべきものであり、それによる取調べの真相解明機能の低下は、他の代替手段(新たな捜査方法、供述獲得制度等)により補われる必要があると考えています。
ワークショップでは、限られた時間ではありましたが、様々な議論が出て、とても有益で、勉強になりました。
来年は、中央大学で刑法学会大会が開かれるとのことですが、まだ、生きて元気に活動していれば、参加したいものです。