http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2008091202000263.html
最大の争点だった自社株売却益の売り上げ計上の是非について、宮内被告側は「当初から不正の認識はなかった」と主張したが、中川裁判長は「複数の組合を介在させ、海外の証券会社を使って自社株売却を行い、発覚しづらくした」と一審判決を追認。「公認会計士の指摘を抑えて犯行に及んでおり、不正な会計処理との認識はあった」とした。
その上で「証券市場に与えた影響は非常に重い」と指摘。「反省の態度を見せても執行猶予が相当とは言えない」「主導的な立場。当時多額の報酬を得ていたと推認できる」と実刑の理由を述べた。
一方で、捜査段階から一貫して事実関係を詳細に供述し、事件の解明に協力してきたと指摘。「元社長堀江貴文被告(35)=上告=に迎合した側面がある。民事訴訟の解決に向けた相当の努力をしており、酌むべき事情もある」と述べた。
真相解明への努力や、被害弁償、反省悔悟していることなど、有利な情状を最大限考慮しても、罪質や果たした役割の重要性(確かに、この被告人の専門知識なくしてはあり得ない犯罪でしょう)等から、実刑はやむをえないという判断になったものと思われます。
先日、
相場操縦、丸八証券前会長に実刑 名古屋地裁判決、懲役1年4月
http://www.nikkei.co.jp/news/shakai/20080909AT1G0901509092008.html
で、実刑判決の理由として、「一般投資家を巻き込み、組織的に証取法違反に及んだ点で異例であり、証券取引の公正をないがしろにした悪質な犯行。刑事責任は非常に重い」とされている点にも現れているように、この種の犯罪を、従来のような形式犯的な捉え方をせず、不特定多数を騙し大きな実害を生じさせる悪質な実質犯として捉え、悪質性如何によっては躊躇せず実刑も選択する、という量刑相場が定着した、という見方をして良いと思います。
こういった流れを良く理解しておかないと、気がつくと取り返しがつかないことになっている、という恐れがある、ということを、この種犯罪に手を染めてしまいかねない人々は、十分注意しておくべきであると思います。