法科大学院の底上げ検討、必須科目の拡充を軸に

http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20080531-OYT1T00832.htm

相変わらず忙しく、午後から六本木ヒルズ内にあるアカデミーヒルズへ出てきたところ、並んでいた読売新聞の1面トップにこの記事があって、早速、読みました。

法科大学院ごとに異なる教育内容の大部分を共通化し、教育の質を保証し向上させようとするものだ。

こういった試みは、もちろん、悪いことではなく、一定の改善は期待できるでしょう。ただ、カリキュラムを共通化し、一定のレベルを求めた際に、それを「教える人材」をどこまで確保できるか、という問題は、今まで以上に深刻になる可能性が高いと思います。法律というものは、学ぶ以上に教えるのが難しいもので、特に、法科大学院という、実務法曹になる人材を養成する場においては、理論に強く、実務にも明るく、両者の矛盾等にも問題意識を持ち、バランスのとれた思考ができ、かつ、教えることも得意、という教員を、すべてとはいかないまでも一定数は確保する必要があります。なかなかそういった人材はいないものです。
また、上記の記事では、

ワーキング・グループでは今後、医、歯学部の状況を参考に法科大学院のコア・カリキュラムの概要やカリキュラムを新司法試験の出題範囲と連動させることなどについて検討する。

とありますが、こういった流れは、必然的に、法科大学院の予備校化といったことにもつながる可能性が高く、私自身は、実のある教育が施されるのであれば別に予備校化しても構わないと思っていますが、現実から遊離し浮世離れした空理空論を振り回すのが大好き、という人々が多い世界でもありますから、「そもそも・・・」といった、現実には役立たない不毛な議論が再燃する恐れもあるように思います。
駄目なものはいくら手間暇をかけても駄目、ということに、早く気づいて大きく方向転換しないと、氷山にぶつかって沈没した巨大客船タイタニックの最期のような状態になりかねないでしょう。