法科大学院、司法試験合格下位校は統廃合を…中教審提言

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090417-00000968-yom-soci

最終報告によると、定員削減の対象となるのは、〈1〉入学時の競争倍率が2倍に満たない〈2〉司法試験の合格率が低迷している−−などの大学院。特に、小規模校や地方の大学院については、教員の確保が難しく、志願者が集まりにくいことから、統廃合を検討するべきだとした。法科大学院74校のうち、半数近い36校が定員50人以下で、今後、こうした小規模校を中心に再編が進む可能性がある。

町村ブログでも指摘されていましたが、元々の定員が50名程度の小規模校で定員を削減すれば、教員数とのバランスがますます悪くなり、経営上も由々しき問題になる可能性が高いでしょう。ストーレートに廃校にしろ、と言わず、下位校を、じわじわと廃校へ追い込んで行こうとしているころに、役人の世界によくある狡猾さ、陰湿さといったものを感じます。
それはともかく、かつての司法試験やそれを巡る環境にも、様々な問題がありましたが、法科大学院制度がスタートして、何がどこまで良くなったかというと、かなりの疑問があるでしょう。何も良いことはなかったとは言いませんが、例えば、かつての制度に比べ、確実に、多額の学費が必要になったということは、やはりかなりの問題で、自己責任と言ってしまえばそれまでですが、せっせと法科大学院に学費を納入しても合格できなければ法曹になって回収することはできず、人によっては多額の借金を抱え路頭に迷ってしまうことになります。
文部科学省法科大学院内には、司法試験受験予備校を悪者視して目の敵にする勢力がウイルスのように巣くっているようですが、ごく一部の例外を除き、法科大学院では予備校並みのサービスすら提供できず、しかも、予備校どころではない多額の学費を巻き上げてしまうという、詐欺まがい(詐欺そのものという声もありますが)の実態を露呈してしまった以上、そういった勢力は、この問題の議論から完全に排除する必要もあると思います。
日本でも、世界でも、受験があるところには、必ずそれをビジネスとしてサポートするという人や組織が出てくるもので、司法試験の世界だけが例外になる、ということ自体が無理な話で、要はそういったサービスをいかに賢く利用して役立たせるかということでしょう。かつては、大学(法学部)、受験予備校、司法研修所、法曹教育にあたる実務家がそれぞれの役割を果たしつつ、有機的に法曹養成が進んでいた面があって(もちろん、問題もありましたが)、それを、大学が法科大学院新設という形で肥大化し、ポストも金(予備校へ流れる金を狙って)も取り込もうなどという、分不相応な野望が抱かれ、受験予備校には発言力がなく、司法研修所最高裁判所)や実務法曹にしてみれば面倒な法曹養成を大学が中心でやってくれるならありがたいと安易に考えてしまったところに、現在の惨状へとつながるそもそもの原因があったのではないかと私は考えています。
諸外国の制度のパロディーとして、笑って済ませることができるような問題ではなく、一日も早く抜本的に改革すべきであり、現実的な方法としては、かつての司法研修所を中核としノウハウを蓄積している法曹養成体制を、改善すべき点は改善した上で復活させるというのが手っ取り早いのではないかと思います。