シンポジウム「法科大学院制度の現状と課題」(札幌弁護士会主催・ロイトン札幌)

昨日夜、上記のシンポジウムが開催され、私も、参加して話を聞いてきました。シンポジウム中に、断片的ですが、聞いた内容や感想をツイートし、それは、この下のエントリーでアップされています(断片的ですから、こういった発言があったようだ、という参考程度で見てください)。
旧司法試験制度の時代には数百名から千数百名程度であった司法試験合格者が、現在では2000名程度まで増え、そのようにして徐々に増加する中で裾野が広がった分、かつてであれば合格はあり得なかったような人も混じってくるのは避けがたいことで、極端な例(接見禁止だからといって接見に行かないとか告訴状も満足に書けないとか)を挙げて、だから法科大学院制度は駄目なんだ、といった議論をしても不毛なものでしかないでしょう。旧司法試験制度の時代でも、ひどい弁護士、法曹というのはいたもので、そういうことで新旧に分かれてなじり合っても何の実りもない(別にシンポジウムでなじりあっていたわけではありませんが)、と聞いていて思いました。
シンポジウムでも指摘されていましたが、現状では、未修者、非法学部出身者が振るわず問題、ということは言えると思います。元々、こういった分野に適性がない人をいかにうまく他の道へ誘導するか(経済的な負担を最小限に抑えつつ)ということを考えなければならないでしょう。かつての司法試験では、法学部やその周辺の法律系サークル、予備校、自主的な勉強グループといったものを利用しながら、まずは司法試験の択一試験を目指し、その過程で、適性に乏しい人はやめて別の道へ進む、という道筋がそれなりに定着していましたが、現行の制度では、適性がない人々も一定数、法科大学院へ入ってしまい、適性がなく展望もないまま安くない学費を払いながら傷口を広げてしまう、ということが、やはり大きな問題ではないかと思います。
私なりの改革案は、そういった点も考慮した上での、

これからの法曹養成
http://d.hatena.ne.jp/yjochi/20110817#1313517586

といったものですが、シンポジウムの中で、「現状」についての指摘は様々になされていたものの、「課題」、さらには「抜本的な改革」といったことについて、ほとんど語られていなかったことには、物足りなさを感じずにはいられませんでした。
しがない弁護士には、制度を改革するような力はありませんから、是非とも、そういった力を持つ人々により、より良い制度へと改革してもらいたいものだと思いました。