田口淳之介と小嶺麗奈被告 判決公判が3カ月延期になった理由

田口淳之介と小嶺麗奈被告 判決公判が3カ月延期になった理由(女性自身) - Yahoo!ニュース

「検察側によると、厚労省関東信越厚生局麻薬取締部(麻取)が一部マスコミに家宅捜索の模様を記録した動画を提供していたというのです。そのため捜査過程に問題がなかったかを調べることになり、判決が延期になっていたといいます。結果的に証拠として認められ、判決公判を迎えたそうですが……」(傍聴した記者)

捜査の過程で、様々な違法、不当なことが行われることがあります。ただ、それらがすべて捜査自体の適法性に影響を及ぼすかというと、そうではなく、ケースバイケースです。内容によっては、証拠の押収手続や証拠の証拠能力を失わせることがありますし、違法行為がなければ起訴自体があり得なかった、といった極限的な場合は起訴自体の無効を来すこともあるでしょう。

上記の事件で問題となった行為は、捜査対象となった被疑者らのプライバシーを侵害するものである可能性が高く、また、国家公務員法上の守秘義務違反として、処罰や懲戒処分の対象になる可能性も高いでしょう。裁判所は、そういった行為が、訴訟手続(具体的には証拠の押収手続や証拠能力)に何らかの影響を及ぼす可能性があると見て、判決を延期した上で、検察官にその点の補充主張、立証をさせたのでしょう。その結果、問題の行為が証拠の押収手続や証拠能力にまで影響を及ぼすものではないことを確認し、有罪判決を宣告したものと推測されます。

ただ、だからといって、問題の行為が不問に付されたわけではありませんから、今後、上記のような国家公務員法違反、懲戒処分、さらには国家賠償法に基づく損害賠償請求といった形で問題として残るものと思われます。

捜査機関、特に、警察や麻取のような組織は、自分たちに有利に事を運ぼうと、マスコミへ何かとサービスしがちで、マスコミ側もそれに乗って情報を取ろうとしがちですが、行き過ぎればこういった問題にもなるわけであり、官側としては、節度を保ちつつマスコミへの過度な、行き過ぎた情報提供を行わないようにしないと、結局は自らが傷つき威信を失墜することになってしまうでしょう。