司法試験「年3千人」見直し 法務省、合格者減も選択肢

http://www.asahi.com/national/update/0124/TKY200801240483.html

法務省は「3カ年計画」の改定を受ける形で省内に検討組織を設け、本格的な見直しを始める予定だ。(1)司法試験の結果などから、質の低下を見てとれるのか(2)企業や自治体などが弁護士を雇用するという需要はどの程度あるのか(3)増員が、法律家がいない地域の解消につながるのか――といった項目を検証。10年以降に合格者数を減少に転じさせることも選択肢に含めて検討を進める。

ただ、計画が変更された場合、法科大学院の入学希望者にも大きな影響が生じることから、法曹志願者や法科大学院関係者からの強い批判も予想される。法務省幹部の一人は「実際に数を減らすのは先でも、結論は早めに出さなければいけない」と話している。

この記事は本日の朝日新聞朝刊で1面トップでしたが、遂に、この問題も重大な局面を迎えるに至ったな、というのが第一印象ですね。「法曹志願者」「法科大学院関係者」による、猛烈な反対、巻き返しが予想され、迫りつつある日弁連会長選挙の結果によっては、法務省を挟み、「日弁連」「各弁護士会」対「法科大学院」「司法試験受験生」が対立する、という状況にもなりかねないでしょう。
個人的な心情としては、天皇陛下に「御聖断」でも仰いで決めていただきたいような気がしていますが、そういうわけにも行かないので、議論を尽くし、最終的には国民を代表する国会で決めてもらうしかないと思います。
私は、以前から、従来の日本における法曹人口の少なさから見て、合格者数増加は避けられず、国民にとって必要な人数が3000人なら3000人、5000人なら5000人になっても、それはやむを得ないことだろう、と思っていて、今でもその考えは変わりません。むしろ、私の関心は、大幅増員下で、質の低下を招かないような法曹養成体制にあったと言ってよいと思います。
ただ、上記の記事にある、法務省が今後検討しようとしている点を見ると、3000人という数字について、「必要性」の検証、検討が、これまで、どれほどきちんと行われてきたのか、疑問を感じずにはいられません。今更こんなことを言っているのか、という失望感も感じます。
今後の議論では、この問題について十分な分析、検討能力を持ち、国家、国民の利益を踏まえた大きな視野に立ちつつ適切な意見を述べることができる、真の「有識者」を参加させる必要があるように思います。