http://www.asahi.com/national/update/0124/TKY200801240121.html
警察庁のまとめた「適正化指針」は、取調官に対し、供述の信用性を疑わせる原因となりかねない言動を「監督対象行為」として禁じた。深夜や長時間の取り調べも原則禁止し、中でも「午後10時〜午前5時」「1日8時間超」は、本部長か署長の事前の承認を必要とすることにした。
指針が守られているかをチェックするため、総務部門に設ける監視・監督部署は、定期や抜き打ちの調査を行い、不適切な行為が見つかれば、取調官を代え、指導や懲戒処分の対象にする。
外から状況を点検できるように全取調室1万余に透視鏡を設置。容疑者や代理人弁護士らから苦情を受けた場合も、監視・監督部署が調べるとしている。同庁は「取り調べの監督は体制の整った都道府県警から順次始めたい」としている。
取調べの可視化、録画・録音を阻止するための「アリバイ作り」「ポーズ」以外の何者でもない、と断言できますね。現在でも、例えば犯罪捜査規範では、
(捜査の基本)
第二条 捜査は、事案の真相を明らかにして事件を解決するとの強固な信念をもつて迅速適確に行わなければならない。
2 捜査を行うに当つては、個人の基本的人権を尊重し、かつ、公正誠実に捜査の権限を行使しなければならない。
(法令等の厳守)
第三条 捜査を行うに当たつては、警察法 (昭和二十九年法律第百六十二号)、刑事訴訟法 (昭和二十三年法律第百三十一号。以下「刑訴法」という。)その他の法令および規則を厳守し、個人の自由及び権利を不当に侵害することのないように注意しなければならない。
(関係者に対する配慮)
第十条 捜査を行うに当つては、常に言動を慎み、関係者の利便を考慮し、必要な限度をこえて迷惑を及ぼさないように注意しなければならない。
などと、必要な規制は既に行われていますが、きちんと守る気がない警察官が少なくないからこそ、次々と問題が生じているのは明らかです。こういった問題は、日本だけではなく、本質的、世界的な問題であり、そうであるからこそ、取調べの可視化、録画・録音ということが、各国で徐々に導入例が増えつつあるわけであり、今回の警察庁の「指針」は、泥棒に泥棒の監視をさせるようなもので、実効性はゼロと言っても過言ではないと思います。「容疑者や代理人弁護士らから苦情を受けた場合も、監視・監督部署が調べるとしている」などと言っても、警察ほど、言い訳や偽装、隠蔽が得意な組織はないので、そういったことがあっても、調べたが問題はなかった、などと木で鼻をくくったような回答が戻ってきて終わり、ということになるでしょう。
これで冤罪が防止される、などと考えるおめでたい人間は、警察庁から「有識」認定を受け
http://d.hatena.ne.jp/yjochi/20071207#1196990339
のような会合に呼ばれることはあっても、真に国家、国民のためになるような存在には永遠になれないでしょう。