検事の不当発言で賠償命令 「妻通じ自白強要」認定

http://www.tokyo-np.co.jp/flash/2006101701000596.html

以前、

http://d.hatena.ne.jp/yjochi/20041221#1103555151

でコメントした事件の続報ですね。

高知地検の担当検事が同年11月に八恵さんを呼び出し「このまま否認していると刑務所に入ることになる」「(竹内さんに)謝罪してほしい」などと発言、面会で伝えるよう迫った。

刑事事件の法廷で時々感じるのは、公判、法廷と、自分の取調室を混同し、思い上がった言動を平気でする検事(特に若手検事)が目立つということですね。
捜査では、刑事訴訟法の建前はともかく、実質的には検察官が捜査を主宰しているという性格が強く出ますが、公判、法廷では、検察官はあくまで一方の当事者であるという自覚をきちんと持って、自らの職責はきちんと果たしつつも、節度ある言動というものが求められるでしょう。いろいろな人々が、検察官の振る舞いを目にしており、横柄だったり、当事者としての立場を逸脱した言動に出たりすれば、批判を受けるのは当然であり、上記の記事にあるような、あまりにも目に余る行為に及べば、このような惨めな判決をもらう、ということにもなってしまいます。この事件は、刑事は、結局、無罪、民事も、一審とはいえ上記のような損害賠償認容判決で、担当検事や上司は、一体何をしていたのか、と批判されても仕方がないと思います。
昔と違い、最近は、司法研修所を終了して検事に任官することが、一種のエリートの証になっている面があり、若くて未熟な人間が思い上がるのもわからないではありませんが、そういった思い上がりの先にあるものは、ろくなことではない、という謙虚さを忘れないようにすべきでしょう。未熟で思い上がったような検事に対して、自白しようという被疑者はいないと思いますし、捜査にしても公判にしても、良い仕事はできないでしょう。
割れない、自白が取れない、といったことを、被疑者や弁護人のせいにする前に、検事の「人間力」が、かつてのそれに比べて大きく低下しているのではないか、という危機感を持つべきだと思います。
しがない元検事の雑感です。