捜査資料、地検「死んでも出さない」 鹿児島12人無罪

http://www.asahi.com/national/update/0407/SEB200704060009.html

口裏合わせのやりとりは、朝日新聞が入手した県警の内部文書「鹿児島地検との協議結果について」に明記されている。文書は、一連の捜査を指揮していた県警捜査2課の警部から上司の捜査2課長にあてたもの。

こういう内部文書を、マスコミが入手できてしまうという鹿児島県警の「保秘」はどうなっているのか、あきれはてますね。
現在、警察では保秘は駄目なので検察庁で捜査してほしいと依頼中の事件があるのですが、やはり、警察の情報管理はデタラメで信用できないな、と思うしかありません。今度、検事に会う機会があれば、このことも言ってみようと思います。
それはそれとして、

協議は04年11月9日に鹿児島地検4階の小会議室で行われた。警部が公判に証人として出廷する直前で、その際の想定問答などについて打ち合わせるため検事2人と警部や刑事部参事官らが出席した。
特に問題になったのは、警察が容疑者や参考人の取り調べ時に供述内容の要旨などを書き残しておく「取調小票(こひょう)」の扱いだった。裁判で証拠とされる調書は、小票をもとに供述などを記したものであるケースがほとんどだという。
起訴事実は、元被告6人の「自白調書」をもとに買収会合は4回だとされていたが、捜査関係者によると、問題の小票には買収会合は「4回」「7回」「10回」のほか、さらに多数回開かれたなどと記録されている。これが公になると、すでに公判に提出していた調書や他の捜査員の証言と矛盾が生じることを当時の県警と地検は恐れていたという。
検事は小票について「死んでも(法廷に)出さないつもり」「心配なのは、小票が弁護団に漏れていないかどうかだ」「事実関係は調書の方が絶対であると(警部に)証言してもらう」などと発言。これに対し、警部は「小票が出たら、(事件が)飛ぶ」と述べ、県警幹部も「絶対に提出しないという方向性の堅持を」などと検事に依頼した。
結局、検察側が恐れていた弁護側からの証拠開示請求がなく、小票は公判に提出されなかった。

検察官の「当事者」性が、悪い方向で思う存分に発揮されてしまった例、と言えるでしょう。
上記の「小票」が出ていなくても、警察官調書や検察官調書のレベルで、既に、関係者の供述が大きく変遷し、また、相互に矛盾していたようですから、小票なるものを出しても出さなくても結論には影響しなかったと思いますが、獲得出来もしない有罪判決に未練がましく固執する検察官の姿勢が見苦しく、これが公益を代表する者の姿なのかと、哀しさを感じます。
公判対策のために、検察・警察が相互に協力、連携すること自体は悪いことではありませんが、犯罪をでっち上げ、公判を無用に長引かせ、関係者に無用の負担をかけるものであれば、やらないほうが良いでしょう。
検察庁や警察の、非常にあざとく、危険な側面がよくわかるニュースだと思います。

追記:

<県議選買収>鹿児島県警と地検 捜査資料不提出を“約束”
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070407-00000056-mai-soci

によると、例の「踏み字」について、

警部が「自白を得るための手段と言えばそれまで」「結果的には有形力の行使と言われても仕方ない」などと発言。検察側は「今の考えは絶対に言わない方がいい。自白をとるためと結論付けられ、(係争中の)国賠(国家賠償請求訴訟)にすごい影響を与えかねない」と述べていた。

とあり、検察官が「偽証教唆」まがいのことまでやっていて、有罪判決も獲得できない事件で余計なことばかり言ったりやったりする検察官には、あきれるばかりです。
捜査機関が次第に「自滅」する中で、裁判員制度が華々しくスタートすることになりそうですね。