私が司法試験に合格するまで(その6・終)

(その1)
http://d.hatena.ne.jp/yjochi/20041009#1097330802
(その2)
http://d.hatena.ne.jp/yjochi/20041010#1097340812
(その3)
http://d.hatena.ne.jp/yjochi/20041010#1097384981
(その4)
http://d.hatena.ne.jp/yjochi/20041010#1097415623
(その5)
http://d.hatena.ne.jp/yjochi/20041030#1099112152

既に述べたような受験勉強を行い、大学4年生時の司法試験を迎えた。択一試験の勉強は、万全を期して2月から始め、前年と同様の準備を進めたが、前年とは異なり、答案練習会への参加、予備校のビデオ講座の受講、それらの予習復習を並行して行っており、特に2月以降は、極めてハードな生活を強いられることになった。やるべきことをやらずに残してしまうと、そこが「穴」になって残ってしまうという思いが強く(実際、そうなのだが)、必死になって勉強していた。体調もあまり良くなく、そのせいもあったと思うが、ある日、自宅近くの吉野家で牛丼を注文して食べようとしたところ、誤ってひっくりかえしてしまい、情けない気分でいたところ、店員が、非常に親切に対応してくれて、非常にうれしかった記憶がある。今でも、吉野家の看板を見ると、そのころのことを思い出すことがある(そういうこともあって、吉野家は今でも愛用している)。
何とか択一試験に合格できて、論文試験までどう過ごすかを検討したが、自分なりに考えて、
1 受験新報に掲載された論点一覧(確か、当時は6月号に掲載されていた)を手掛かりにして、論点の総整理(不十分な点は基本書等の読み直し)を行う
2 予備校実施の直前答練を受ける(私は、LEC実施の答練を受講し、早稲田司法試験セミナー実施の答練は知人から資料を見せてもらった)
3 既に受講した答練の総復習
を行うことにした。
1については、論点を一つ一つ見ながら、論証すべきことが頭に浮かぶかどうか試してみて、頭に浮かばなかったり、浮かんでもきちんと「書けない」論点については、基本書や予備校のテキストなどの該当箇所を再読して、最低限度は書ける程度にしておく、といった作業を地道に繰り返した。
2は誰でもやっていることであるが、敢えて3を行ったのは、かなりの回数の答練を受講していながら、受けっぱなしで終わっている面があったので、この機会に徹底的に総復習して、今年が駄目でも翌年以降につなげたいという思いがあったためであった。やってみると、自分の答案の欠点などが見えてきて、非常に有益だった記憶がある。
このようにして、何とか間に合わせたような状態で論文試験を迎えたが、自分では、かなり手応えを感じた答案もあったものの、さっぱり書けなかったという答案も何通かあって、「これは落ちたな」というのが、試験終了後の率直な感想であった。
そう思うと、かえって吹っ切れたような気持ちになり、翌年へ向けて頑張ろうという気力が沸いてきて、論文試験最終日の翌日から、ごく普通に勉強を再開していた。
ところが、論文試験に合格してしまったのである。良い意味での誤算であったが、本当に合格するとは思っていなかったので、口述試験の準備をほとんどしておらず、非常にあわててしまった。そもそも、口述試験に着て行くスーツも持っておらず、論文合格発表後に、あわてて買いに行ったりしているような状態で、今振り返っても間抜けな話である。
このような状態のため、準備不足で臨んだ口述試験であった上、大学4年生程度ではそれほど知識もなく、口述試験は非常に辛かった。うまく答えられない場面が多くて、論文試験を受験した時以上に、「これは落ちた」と思い、口述試験終了後、実家の両親に対しても、「口述は落ちたので、来年へ向けて頑張るから」と告げ、最終合格発表は見にも行かなかった。しかし、予想に反し、合格していた。
大学入学直後から司法試験を目指して勉強を始め、大学4年生の10月末に最終合格したので、3年半くらいの勉強期間で合格したことになるが、比較的早期に合格できた理由を自分なりに振り返ってみると
1 それなりに適性があった
2 合格者による指導、大学の法職課程、予備校をうまく利用できた
3 あまり手を広げすぎず、定評のある基本書や予備校のテキストを利用して、試験に必要な知識を計画的、効率的に習得できた
4 大学3年時に択一試験に合格し論文試験を受験できたことで、翌年の試験へ向けて何をどのように勉強すべきかが具体的にイメージできた
5 運にも恵まれた
といったことになるのではないかと思っている。

(終)