2歳置き去り死「保護者に出欠確認しなかった保育園」に向かった批判の矛先、「救えていたかもしれない?」園の責任を考える

2歳置き去り死「保護者に出欠確認しなかった保育園」に向かった批判の矛先、「救えていたかもしれない?」園の責任を考える(弁護士ドットコムニュース) - Yahoo!ニュース

なお、判例も見当たらないと冒頭で述べましたが、参考までに、中学校においては裁判例があります。 自宅を出発した子どもが登校時間になっても出席せず、そのまま外で自死した事案で、学校がただちに出欠確認の連絡を入れていれば防げたとして、両親が学校の欠席確認義務違反等を主張する訴訟を起こしました。 判決は学校の欠席確認義務を原則として否定しています(さいたま地判平成20年7月18日)。登校していないという情報を有しているのは学校だけと想定されますが、それでも学校の欠席確認義務が原則として否定されていることは、中学校と保育園の違いを踏まえても、参考になるものと思われます。

この問題は私もこれまで突っ込んで考えたことはありませんでしたが、記事も踏まえて考えてみると、出欠確認を保育園側の法的義務と捉え、その違反を債務不履行とか不法行為と捉えるというのは、一般的にはできないだろうと思います。そういった確認を行うという規則、ルールがあっても、あくまでも内部的な取り決め、努力事項という捉え方になるでしょう。

しかし、例えば保護者との間で、契約関係に立つような取り決めの中でそういった確認を保育園側の義務としているような場合、それが保育園の園児に対する保護、監護義務の一環と評価できるような特段の事情がある場合は、それを怠ったことが、債務不履行不法行為になることを、排除できない場合もあり得るとも思います。

法的な面でどうかという議論も無駄ではありませんが、まずは、こういった悲しい事故が起きないように、安全対策に万全を期していくことが先決だと思います。