特捜検事、供述を誘導か…河井元法相の大規模買収事件で市議に不起訴を示唆

特捜検事、供述を誘導か…河井元法相の大規模買収事件で市議に不起訴を示唆(読売新聞オンライン) - Yahoo!ニュース

録音データによると、検事は市議に対して「彼(元法相)を処罰すればいい」と話し、「認識がないというのは否認になる」と説明。「できたら議員を続けてほしいと思っている」「先生(市議)を否認にしたくない」とも述べた。被買収罪で起訴されて有罪となれば議員失職が避けられないことから、検事の発言には、認めれば起訴を見送るとの意図があったとみられる。

私自身、被買収とされた複数の人の弁護人になっていましたが、上記のような話は当時から、漏れ聞いていましたし、そもそも、選挙違反では買収、被買収をともに処罰するのが当然のことなのに、2020年7月に、買収側の河井夫妻が起訴された時点で、被買収側は、取調べは受けていたものの、立件すらされていなくて、異常としか言いようがない処理でした。

おそらく、検察は、立件すらせず、不起訴処分自体も出さずに被買収側は不処罰状態にして、検察審査会での審査すらできないようにしようと考えたのでしょう。立件すらしていなければ、不起訴処分自体がないですから、検察審査会に審査を求めることもできません。

しかし、そのような浅はかな処理が通るはずもなく、被買収側について告発状が出て立件せざるを得なくなり、一括で不起訴処分にしたものの検察審査会に申し立てられ、起訴相当等の議決が出て、という流れになったものでした。

上記の記事で問題となっている取調べ当時、検察は、組織の意思として、被買収は自白を取った上で不起訴にして、買収側の河井夫妻だけ起訴しようとしていたことは、流れから見ても明らかです。そうでなければ、末端の単なるヒラ検事が、上記のような取調べをすることは絶対にできないと断言できます。

こういった捜査や取調べの在り方を改革していかないと、いつまでも日本の刑事司法は昭和を引きずる、前近代的な、お白州的なものであり続けるでしょう。