「嫌疑なし」の判断…名古屋入管でスリランカ人女性死亡 当時の局長ら『不起訴』 遺族は「怒りと悲しみ」

「嫌疑なし」の判断…名古屋入管でスリランカ人女性死亡 当時の局長ら『不起訴』 遺族は「怒りと悲しみ」(東海テレビ) - Yahoo!ニュース

スリランカ国籍のウィシュマ・サンダマリさん(当時33)は、5年前に来日し、その後不法残留で名古屋入管の施設に収容中、体調の悪化を訴え、2021年3月に亡くなりました。  

遺族は「適切な医療を提供する措置を講じておらず、死亡しても構わないという未必の故意があった」などと主張し、殺人の疑いで名古屋入管の当時の局長や担当職員らを刑事告訴していました。  

名古屋地検は17日、「死因が特定できず因果関係が分からない」などとして、「嫌疑なし」の不起訴処分としたことを遺族に伝えました。

入管側としては、収容されている人が亡くなれば困るわけで、未必の故意であっても殺害するというのは考えにくいことでしょう。この事件で、実務的に問題になるのは保護責任者遺棄致死罪、業務上過失致死罪だと思います。

報道では、死因が特定できないとのことで、そうであれば、どういった行為から死亡の結果が発生したか特定できないことになり、刑事事件としては起訴、有罪へ持ち込むことが難しくなります。業務上過失致死罪では、未遂罪が処罰されていませんから、因果関係が認定できなければ、過失行為飲みでは処罰できません。

保護責任者遺棄罪(生存に必要な行為をしないことを含め)が問題にあんる余地はあるでしょう。ただ、これは保護責任者が遺棄行為を行ったという故意犯であり、あくまで報道によるとですが、死亡に至る過程においては、入管職員側に、勘違い、誤解があったこともうかがわれ、すべてを故意の遺棄行為とは捉えにくい面もありそうです。ここは、今後、検察審査会での審理の中で大きく問題になりそうです。

刑事責任追及が不発に終わったとしても、こういった重大な死亡事案が発生した背景には、入管側の体制不備が存在したことは間違いありません。再発防止のため、早急な改革が迅速に進められるべきことは明らかだと思います。