押尾被告立件へ 女性死亡本格捜査、処置に違法性の疑い

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090919-00000504-san-soci

女性に異変があってから約3時間後の午後9時20分ごろ、関係者が119番通報したが、押尾被告はこの前後に「怖くなった」として部屋を出たという。救急隊が到着時、女性は死亡しており、女性の血液からはMDMAの成分が検出されている。
捜査1課は、異変から通報まで約3時間が経過するなど一連の対応によって、女性の生死が左右された疑いがあるとみており、保護責任者遺棄致死や過失致死容疑の適用を視野に捜査を進めている。また、マンションの植え込みから女性の携帯電話が見つかっており、証拠隠滅の疑いもあるとみている。

この件については、本ブログでも

押尾学逮捕】薬物はびこる芸能界、逮捕者続々
http://d.hatena.ne.jp/yjochi/20090805#1249432354
押尾学容疑者、心臓マッサージで死亡女性の肋骨折れた!?
http://d.hatena.ne.jp/yjochi/20090812#1250048203

とコメントしていますが、今後、特に問題になるのは、女性がどの時点で死亡したのか、死亡に至る経緯の中で救命のため何ができたのか、ということでしょうね。体調に異変が生じた後、死亡するまでの時間がごく短時間であったとすれば、遺棄、あるいは不保護という行為と「致死」との間の因果関係が認められない上、観念的、抽象的には遺棄、不保護と言えても、どこまで違法な行為と言えるのか疑問が持たれてきます。起訴価値という問題もあるでしょう。
それに対し、体調の異変が生じてから死亡まで、一定時間(30分、あるいは1時間程度以上とか)が経過し、かつ、その間に適切な救命措置が講じられていれば救命できた蓋然性が相当程度高い、ということになれば、保護責任者遺棄致死罪、少なくとも保護責任者遺棄罪(因果関係の認定上「致死」までは問いにくいとして)認定の余地が出てきます。
また、遺棄、不保護という認定が、故意の面などから難しくても、救命の可能性や蓋然性が肯定される中での不適切な措置、ということが認定されれば、(重)過失致死罪成立の余地も出てくるでしょう。
死亡の状況については、おそらく複数の医師の意見を聞く必要があり、また、その前提として各種の病理検査等の結果も参照する必要もあって、捜査には一定の時間がかかる可能性がありますが、時間をかけることによって見えてくるものも確実にあるはずで、簡単に事件にならない、立件されないとは片付けられないものを感じます。