政党機関紙配布、元社保庁職員に逆転無罪 東京高裁

http://www.asahi.com/national/update/0329/TKY201003290075.html

「国家公務員の政治的行為を制限した国家公務員法の規定は合憲」としながらも、休日に職務と関係なく党機関紙を配った行為に同法を適用して刑事罰を科すのは違憲だと判断した。
国家公務員が国公法違反の罪で起訴されたのは、社会党(当時)のポスターを掲示・配布した「猿払(さるふつ)事件」で郵便局職員を有罪(一、二審は無罪)とした74年の最高裁大法廷判決から初めてのケースだった。

捜査、起訴は猿払事件最高裁判決を前提に行われたはずですが、判決から既に長い年月が経過し、立法の正当性が強固になるといった事情もない中(その逆はあっても)、この程度の軽微な事件を、わざわざ起訴するだけの起訴価値があったのかが、そもそも疑問ですね。こういう事件を追いかけ回している暇があったら、警察庁長官が銃撃されるような事件を解決してほしかった、と思う国民は多いでしょう。
高裁判決は、合憲限定解釈の手法に依ったのではないかと推測されますが、猿払事件最高裁判決とは異なる判断を示していることは確実で、今後、おそらく東京高検は判例違反を理由に上告し、最高裁の判断が示されることになるでしょう。しかし、最近の最高裁の傾向に照らすと、猿払事件における判断をそのまま踏襲するとも思いにくく、今後が大いに注目されると思われます。