「新版 バブルの物語」

 

読まねば読まねばと思いつつ、ずっと読めずにいたものですが、最近、やっと通読できました。

現在の日本における不動産や株が「バブル」なのかは見方が分かれるところですが、私自身、あの平成バブルの頃と似たような雰囲気、空気を感じています。この肌感覚が、やっとこの本を通読させたと言えるかもしれません。

著者は、先年、惜しくも亡くなりましたが「不確実性の時代」

 

でも知られる著名な経済学者で、17世紀におけるオランダでのチューリップバブルをはじめとする、歴史上のバブルについて平明に解説していきます。

本書では、

株価が上昇するだろうとの期待によって株価は上昇したのであり、この期待から生まれる買いによって期待が実現された。こうした期待はやがて不可避的に逆転する。その原因は、ダメージを与える事件または事態の推移であることもあるし、あるいはまた単に頭の悪い買い手の供給が枯渇したというだけのこともあろう。そうした理由が何であれ(これは重要なことではない)、先に述べたように、絶対に確実なことは、この投機の世界はささやきによってではなく大音響によって終末を迎えるということなのである。

といった、警鐘を鳴らし教訓となる金言が散りばめられており、バブルというものを考える上でも、それに対する合理的かつ適度な警戒心を持つためにも、非常に参考になる一冊だと思いました。

バブルは、それが崩壊し回復不能になるまでは、それがバブルであるとはわからないものです。バブルは繰り返されることを肝に銘じて、単にその中で踊るだけではなく、どこかに逃げ場を作っておくことも必要でしょう。