「起訴取り消し」機械メーカー社長ら 国などに5億円超賠償提訴

「起訴取り消し」機械メーカー社長ら 国などに5億円超賠償提訴(TBS系(JNN)) - Yahoo!ニュース

逮捕後、1年近く勾留され、その後一転、起訴が取り消された会社社長らが、「不当捜査だ」としておよそ5億7千万円の国家賠償を求める裁判をおこしました。

国家賠償法上の起訴の違法性は、無罪等の結果から見るのではなく、起訴時に有罪判決を得られる蓋然性が、証拠の合理的な評価により認められたかどうかで決まります。その意味で、無罪等になっても国家賠償法上の違法性、損害賠償まではなかなか認められにくい実態があります。その背景には、起訴時に、検察官により慎重な証拠評価が行われ、有罪判決が獲得できる高度の蓋然性がなければ起訴しないという公訴権の運用が行われているということがあるでしょう。

ただ、この事件における公訴取消という極めて異例の展開、それまでに長期間が経過していることや、報道されているような問題点を見ると、起訴時の証拠評価が相当に杜撰ではないかと強く疑われますし、特に、法的評価を検察官が誤っていた可能性が高いように感じられます。

警察は、起訴してほしいがために、検察への説明において、消極方向の証拠を隠したり、詐欺的な手法をとりがちなものですが、検察は、それに惑わされず、真相に目を向け消極証拠にも謙虚に目を向け耳を傾けて、問題ある事件は警察に引きずられずに不起訴にする、そういう場面でも重要な職責を負っていると自覚すべきでしょう。