六法全書手にフリーズ 事務方も参る上川法相のド素人答弁

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西川農相は「私は全く罪を認めていない。不起訴だった」と強調。水岡議員は「当時の新聞報道には(罪を認めた上での)起訴猶予とある」と指摘した。

分厚い六法全書を手に、やっと答弁席に立っても「刑事訴訟法…248条に…起訴便宜主義によって…」と条文を細切れに棒読み。野党はますます反発、事務方は必死のレクチャー、それでも答弁できない上川法相──。これを4度も繰り返し、その都度、審議はストップ。中断は10分近くに及んだ。

日本の刑事手続では、公訴権は検察官が独占していて(これを起訴独占主義といいます)、ごく例外的な場合を除き(例えば検察審査会法に基づく強制起訴など)、起訴するか不起訴にするかを決定するのは検察官です。日本では、それと併せて、「起訴便宜主義」も導入され、これを定めているのが刑訴法248条で、

犯人の性格、年齢及び境遇、犯罪の軽重及び情状並びに犯罪後の情況により訴追を必要としないときは、公訴を提起しないことができる。

とされています。これは、要するに、起訴できるだけの証拠があり起訴できても、上記のような事情に照らし、検察官が「訴追を必要としない」と考えた時は「公訴を提起しないことができる」ということで、その処分が、起訴猶予処分です。不起訴処分には、嫌疑不十分、嫌疑なし、親告罪の告訴取消(強姦罪のような告訴がないと起訴できない罪で告訴が取り消された場合)等々、様々なものがありますが、その中に起訴猶予がある、という構造になります。
農相がかつて受けた処分が、不起訴処分であったことについては、起訴されていない以上、他の可能性はありませんが、それが、起訴できるがされなかった起訴猶予なのか、証拠が不十分で起訴ができなかった嫌疑不十分なのか(そのどちらかである可能性が高いと思いますが)、あるいは他の類型の不起訴であったのかは、警察が持っているデータベース上は記録に残っているはずですが、その内容が明るみに出ない以上、不明というしかありません。
こういった話は、高度の専門性がなくても、それほど理解困難なことではないと思うのですが・・・。法相に適任者が得られないというのは法治国家としていかがなものかという気がします。