ゴーン被告の保釈金、15億円全額没収が決定

ゴーン被告の保釈金、15億円全額没収が決定(読売新聞オンライン) - Yahoo!ニュース

同地裁は昨年3月と4月に保釈を認めた際の条件として、ゴーン被告の海外渡航を禁じたが、ゴーン被告は無断で出国し、先月30日にレバノンに入国した。同地裁は同31日に保釈を取り消すとともに、保釈金全額の没収も決定した。没収された保釈金は国庫に入ることになる。

刑事訴訟法96条3項で、

保釈された者が、刑の言渡を受けその判決が確定した後、執行のため呼出を受け正当な理由がなく出頭しないとき、又は逃亡したときは、検察官の請求により、決定で保証金の全部又は一部を没取しなければならない。

 と定めています。上記の保釈金は、この規定に基づいて没取されたものです。

没取は「ぼっしゅ」と読みますが、判決で、例えば犯行に使用した凶器を「没収」することと、言葉は別で、区別するために、没取を「ぼっとり」と、実務では呼ぶことがあります。

ただ、没取というのは耳慣れない言葉であり、没収のほうが通りも良くわかりやすいので、報道等では没収と言われることが多いですが、厳密には没取です。

没取は、全額されるのが通例ですが、規定上は「全部又は一部」となっていますから、全額であることが必須ではありません。パソコン遠隔操作事件の被告人が保釈逃亡した際には、私の記憶では、保釈金を工面したのが母親であったことなども考慮されて、没取が全額ではなかったと思います。例は少ないですが、そういうこともあります。

ゴーン氏の場合は、何ら酌量の余地がないということで、全額没取になったのでしょう。