特捜部が異例会見 ゴーン被告の妻に逮捕状

特捜部が異例会見 ゴーン被告の妻に逮捕状(日本テレビ系(NNN)) - Yahoo!ニュース

特捜部が逮捕状の取得で会見を行うのは異例で、特捜部の市川宏副部長は、ゴーン被告がキャロル容疑者と保釈後も会えないことが一部から非人道的と指摘されてきたことに触れ、「キャロル容疑者は資金の流出先の会社の株主で、事件関係者でもある。しかも、重要な関係者と複数回にわたり口裏合わせや証拠隠滅を行った」と指摘した上で、裁判所も必要だとしてつけた条件で、批判にはあたらないとした。

 刑事訴訟法上、「捜査密行の原則」といって、捜査は秘密裏に行われるべきとされていますが、検察は、従来、捜査情報をオープンにせず、その一方で、マスコミには陰でこそこそと恣意的に情報をリークして捜査を有利に進めようとしてきたと言われています。

また、公判段階になっても、公判で証拠請求する情報以外は出し渋ってきたのが実情でしょう。

しかし、ゴーン氏が展開してきたのは、一種の情報戦です。起訴前から、おそらくかなりの費用をかけて、欧米のマスコミ、世論に対して、自らが日産内部の抗争の犠牲者であり容疑事実はでっち上げられたもので、また、日本の後進的な刑事司法制度の犠牲者でもあると、強くアピールして、世論を相当程度味方につけてきました。例えば、米国のウォールストリートジャーナル紙は、ゴーン氏の問題については、経済紙というよりゴーン応援団の機関紙のようになっており、相当程度ゴーン氏に取り込まれています。

日本国内でも、知ってか知らずか、そういった論調に同調する向きが少なくないのが現状です。

国外逃亡についても、ゴーン氏は、上記のような自己正当化の延長線上で、そうするしかなかったのだ、自分は悪くないと、盛んに各方面に吹聴しており、本日、予定されているレバノンでの記者会見でも、そうした主張を繰り返すでしょう。その模様は全世界に配信されます。

このような状況の下、検察としても、従来のような対応では済まないと考え、対抗するために、逮捕状を取得したことを公表するという、従来はなかったことを行って、また、陰でこそこそとマスコミには会ってもなかなか記者会見はしなかった副部長の記者会見も行い、検察の正当性をアピールしようという意図でしょう。

ただ、ここまではゴーン氏側がかなり有利に情報戦を展開してきていて、見事に国外へ逃げられて、公判での立証、有罪判決獲得で鼻を明かすことも困難な現状で、検察は従来はなかった新たな戦いを強いられている、そういう印象を強く受けるものがあります。