保釈率10年で2倍 裁判員裁判影響、再犯懸念の声も

保釈率10年で2倍 裁判員裁判影響、再犯懸念の声も(産経新聞) - Yahoo!ニュース

犯罪白書によると、28年の1年間で、保釈中に起こした別の事件で起訴されたのは162人。前年からは26人減少したものの、10年前と比べると倍以上になっている。
刑事訴訟法では、保釈について、
第八十九条 保釈の請求があつたときは、次の場合を除いては、これを許さなければならない。
一 被告人が死刑又は無期若しくは短期一年以上の懲役若しくは禁錮に当たる罪を犯したものであるとき。
二 被告人が前に死刑又は無期若しくは長期十年を超える懲役若しくは禁錮に当たる罪につき有罪の宣告を受けたことがあるとき。
三 被告人が常習として長期三年以上の懲役又は禁錮に当たる罪を犯したものであるとき。
四 被告人が罪証を隠滅すると疑うに足りる相当な理由があるとき。
五 被告人が、被害者その他事件の審判に必要な知識を有すると認められる者若しくはその親族の身体若しくは財産に害を加え又はこれらの者を怖させる行為をすると疑うに足りる相当な理由があるとき。
六 被告人の氏名又は住居が分からないとき。

と定めていて、1審段階(控訴審以降は89条の適用はなく裁判所の裁量により保釈の可否が決まります)では保釈が権利(「これを許さなければならない」)とされつつ、例外も広く認められています。中でも、1号、2号、3号は、そのような被告人が類型的に権利保釈になじまないと立法者が考えていることを示しており、単純に、無罪が推定されるから保釈されるべき、とは割り切れないものがあります。ほとんどの事件で、89条の権利保釈ではなく、裁判所の裁量による保釈(90条)によっている現状の下、裁判所の合理的な裁量とは何かが真剣に検討される必要があります。再犯の恐れというのは、なかなか予測しがたいもので、それを理由に保釈を認めないということに合理性を見出すことは困難ですし、勾留は再犯を防止する制度ではありませんが、上記の1号乃至3号に該当するような場合は、そもそも法が権利保釈にはなじまないと考えているわけですから、裁量の行使にあたっても慎重な検討が必要ではないかと思います。

保釈の在り方という、非常に難しい問題は、今後も議論が続かざるをを得ないでしょう。