「刑事司法は崩壊する」検察猛反発 証拠隠滅の恐れ認定しながら保釈(産経新聞) - Yahoo!ニュース
地裁は保釈決定で、昨年12月ごろから2月上旬ごろの間、ゴーン被告による事件関係者への「働きかけの企図」があったと認定。証拠隠滅を疑う相当な理由があるとした。一方で弁護人らの指導、監督が徹底されていることなどを理由に、キャロルさんを接触禁止対象の事件関係者に加えるに留め、保釈を許可した。
保釈は、罪証隠滅の恐れがあれば、即、却下されるわけではない。公判が進行中であれば、大なり小なり罪証隠滅の恐れは存在する。刑訴法は、裁判所の裁量による保釈を認めており、ほとんどの保釈は、そういう裁量保釈。要は、罪証隠滅の恐れ等の保釈を阻害する要因を、その大きさ、広がりを見つつ、保釈条件や保釈保証金の設定でどこまでカバーして裁量保釈を認めるかだろう。
合計15億円もの保釈保証金を納付させられ、妻との接触も禁じられての保釈となれば、監視カメラやインターネット、通話の制限なども含め、薄氷を踏むような状態での保釈となる。衆人環視状態で、検察も保釈取消を虎視眈々と狙うだろうし、おかしな動きがあれば、日産の耳にも入って検察にご注進となるだろう。その意味ではかなり危ういものもある。
裁判所としては、今後の保釈が進むべき方向性としてのリーディングケースにしたいという思惑、勾留され続けながらの公判前整理手続が長期化し、世界的に人質司法という猛批判を浴びるのを避けたいという政策的判断もあったのだろう。
そういう意味で、今後、保釈全体に影響するのか、特殊な事件の特殊な判断にとどまるのか、引き続き注視する必要があると思う。