強姦致傷罪などで懲役50年 静岡地裁沼津支部

http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2011120501001622.html

静岡地裁沼津支部(片山隆夫裁判長)は5日、2001〜08年の5件について懲役24年、09〜10年の4件について懲役26年、合計で50年の判決を言い渡した。
求刑はいずれも有期刑最長の懲役30年で、合計懲役60年。

被告は09年に窃盗事件で有罪判決を受け確定。刑法の規定では、確定判決を受けた被告が判決の前と後にそれぞれ罪に問われた場合、量刑が分けられる。

刑法では、45条で、

確定裁判を経ていない2個以上の罪を併合罪とする。ある罪について禁錮以上の刑に処する確定裁判があったときは、その罪とその裁判が確定する前に犯した罪とに限り、併合罪とする。

とされ、47条で、併合罪の処理について、

併合罪のうちの2個以上の罪について有期の懲役又は禁錮に処するときは、その最も重い罪について定めた刑の長期にその2分の1を加えたものを長期とする。ただし、それぞれの罪について定めた刑の長期の合計を超えることはできない。

とした上で、50条で、併合罪中、確定判決を経ていない余罪がある場合の処理について、

併合罪のうちに既に確定裁判を経た罪とまだ確定裁判を経ていない罪とがあるときは、確定裁判を経ていない罪について更に処断する。

としています。併合罪について、45条のような加重主義(単純に加算しない)を採用する理由としては、裁判による威嚇、けん責に接しないまま重ねられたものなので各犯罪を別個に処罰すべきではない、などと説明されることがあります。逆に言えば、確定判決があれば、裁判による反省悔悟の機会があった以上、確定判決の前後で別個に処罰されてもやむを得ないということにも、理論上はなってくるでしょう。
とは言え、間に窃盗事件の確定判決を挟んでいただけで、そうでなければ有期懲役の上限が30年であったものが倍の60年にはね上がり、しかも、判決では合計して50年の刑というのは、違法ではなくても、いささか重きに失しているのではないかという疑問を禁じ得ません。今後の高裁での審理、判決(が行われれば、ですが)が注目されると思います。