熔ける 大王製紙前会長 井川意高の懺悔録

熔ける 大王製紙前会長 井川意高の懺悔録

熔ける 大王製紙前会長 井川意高の懺悔録

私は、本書で、著者が初めて行ったというカジノがあるゴールドコーストのカジノに行ったこともあり、マカオシンガポールのカジノにも行ったことがありますが、元々、博打に興味がなく、好きでもやりたいとも思わないため、ちょっとスロットマシンをやって他人が遊んでいるのを見学した程度でいつも終わっています。ただ、検察庁にいた当時は、賭博事件の捜査も時々やっていて、ほとんどは一般人ではなく暴力団関係者でしたが「博打好き」を何人も取調べたことがあって、目の色を変えて楽しげに博打について語るのを見たり聞いたりして、博打好きの心理というものはどういうものだろうかと、ずっと興味を持っていました。それが、本書を読んでかなり理解できました。100億円を超える金をつぎ込んで博打に蕩尽する、という人は、世界ではともかく日本では空前絶後と言って過言ではない思いますから、これは、非常に貴重な、博打、賭博というもの魅力や魔力が赤裸々に描かれた、貴重なノンフィクションではないかと思います。
著者の、実業家として職務に精励し成果も上げている、その姿と、博打に巨額の資金をつぎ込み破滅へとばく進する、その姿が、なぜ同じ人物がこれほど豹変するのかと実に不可思議で、人間の中には天使と悪魔がいる、ということも感じさせ、いろいろと考えさせられるものがある内容でした。