スティーブ・ジョブズ「第4章 アタリとインド 禅とゲームデザインというアート」

スティーブ・ジョブズ I

スティーブ・ジョブズ I

スティーブ・ジョブズ II

スティーブ・ジョブズ II

カレッジを中退したジョブズは、アタリ社に押し掛けで強引に入り込んで働くようになり、ゲーム開発に関する様々な業務に従事する一方、インド放浪の旅に出て、そこで7か月を過ごし、様々な思想に触れて、大きく触発されることになります。特に、禅の影響を受けたことは、ジョブズ自身が著者に語った中でも触れられています。米国に戻ってからのジョブズは、禅の師から教えを受け深く傾倒することになります。若い時に、こういった思想的な基盤を確立しつつ、ゲーム開発のような、利用者を楽しませるための様々な機能を満足させる必要がある業務に現場で携わったことは、ジョブズのその後を考える上で示唆に富むものがあるように感じました。
ジョブズが著者に語った、

じっくりと時間をかければ落ちつかせ、とらえにくいものの声が聞こえるようになる。このとき、直感が花ひらく。物事がクリアに見え、現状が把握できるんだ。

という境地は、禅で言うところの「悟り」に近い境地ではないかと思われ、Apple製品を使っていると忘我の境地に陥るように思われるのも、こういったジョブズの根底に流れていた思考と無縁ではないような気がしました。