アップルの根底にある「シンプリシティ」間近で見たスティーブ・ジョブズの実像――クリエイティブ・ディレクター ケン・シーガル氏インタビュー

http://diamond.jp/articles/-/19769

当時の話は、私の本『Think Simple』でも書いたが、ネクスト社はビジネス的には失敗でも、スティーブの人格を練り上げる上では重要な年月だったのではないか。なにしろ、ネクスト社時代のスティーブは、まったくゼロのところからすべてを立ち上げたわけで、それが彼のリーダーとしての資質を作ったのだと思う。

後年、スカリーは「ジョブズを追放したことは間違っていた」と、公の場で発言したことがある。しかしながら私は、85年にスティーブがアップルを追放されずに残っていたら、その後成功したか失敗したかについてはどちらも50%の確率だったと思う。ネクスト社時代に苦労したからこそ、後年にアップルの救世主となるiMaciPodiPhoneiPadのような革命的な製品を立て続けに出すことができたのだろう、と私は推察している。

アップルは、組織全体としてシンプリシティの重要性を信じていたからこそ、企業社会で日常的に顔を出す“複雑さ”を排除しながらも、できるだけ小規模組織の運営を維持しようとした。実際のアップルは、もはや大企業ではあるが、それでも生前のスティーブは「複雑さを排除してシンプリシティ(シンプルという哲学)に徹する」を実行し続けた。シンプルに徹することはまた、厳しく険しい道でもある。生易しい道ではない。

スティーブ・ジョブズとともに働いていた、よく知る人物へのインタビューだけに、なかなか読ませる、考えさせる内容だと思いつつ、じっくりと読みました。
若い時の苦労は買ってでもしろ、と言いますが、ネクスト社時代のジョブズが、その後の大きな飛躍へとつながったということを、改めてしみじみと感じます。人生、山もあれば谷もありますが、谷にある時こそが肝心、ということも強く感じました。
上記のThink Simpleは、邦訳が出たばかりで、アマゾンで注文してみました。

Think Simple アップルを生みだす熱狂的哲学

Think Simple アップルを生みだす熱狂的哲学

確かに、物事は、何事も、複雑になればなるほどわかりにくくなり本質が見えにくくなって、魅力が失われる、という性質はあると思います。その意味で、「シンプリシティ」ということはとても重要で、この本を読みながら、そのことについてじっくりと考えてみるつもりです。