<弁護士懲戒呼びかけ>橋下大阪知事が逆転勝訴 最高裁判決

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20110715-00000063-mai-soci

小法廷は、橋下氏の発言を「慎重な配慮を欠いた軽率な行為で、言葉遣いも不適切だった」と批判する一方「表現行為の一環に過ぎず、視聴者自身の判断に基づく行動を促したに過ぎない」と述べた。そのうえで「(懲戒請求が殺到して)弁護団に一定の負担はあったが、弁護士業務に多大な支障が生じたとは言えない」として、弁護団側の精神的苦痛は受忍限度を超えていないと結論付けた。

1審の広島地裁判決(08年10月)は「発言の一部は名誉毀損(きそん)に当たり、懲戒請求の呼び掛けも不法行為になる」と判断して800万円の賠償を命じたが、2審の広島高裁判決(09年7月)は名誉毀損を否定し、懲戒請求の呼び掛けに限って賠償を命じていた。

最高裁判決も読んでみましたが、

http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20110715165447.pdf

なかなか微妙な事件だったな、というのが率直な感想ですね。
個人的な感想としては、受忍限度論という、姑息な逃げ方をせず、行為の違法性の有無を正面から判断して、最高裁が言うような「慎重な配慮を欠いた」「軽率な行為」「言葉遣いも不適切」といった点に、最高裁がよく言っているような、表現の自由も絶対無制約ではない、という観点から違法性が認められれば、低額であっても損害賠償を命じて、きちんとけじめをつけてほしかった、という気はします。
ただ、違法と言えるかということになると、バラエティー番組内における一種の「放言」である上、懲戒請求が多数あっても懲戒処分になる可能性も皆無で、大きな騒ぎは起こしたものの、ざっくり言ってしまえば取るに足りない言動にしかすぎず、私が裁判官であったとして、果たして、違法とまで断じるだろうか、ということは率直に疑問を感じました。
戦前の日本がそうであったように、ポピュリズムの流れが加速し、それを利用するような動きが高まって、皆が一斉に誤った方向へ走るような傾向が強まることのほうが、私にとっては危惧されますね。日本人に限ったことではありませんが、日本人は、特にそういった陥穽に落ちる傾向が強いのではないかと感じます。違法性を論じるまでもないような、取るに足りない言動に、わっと大挙して乗る人間が多数いる怖さ、ということには、常に、警戒する必要があると思います。