<鯨肉窃盗>グリーンピースメンバーに有罪判決 青森地裁

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20100906-00000047-mai-soci

弁護側は「船員らの鯨肉横領を告発するための正当な行為」と無罪を主張したが、小川賢司裁判長は「公益目的で正当なものであったとしても調査活動が許容する限度を逸脱している」と退け、横領についても「不正な鯨肉と断定できない」と述べた。

この事件について、私が読んだネットのニュース記事の中では、

鯨肉窃盗:NGO調査活動、正当性どこまで 裁判、来月6日判決
http://mainichi.jp/select/jiken/news/20100830ddm012040004000c.html

がわかりやすく、その中では、

裁判で最大の焦点は、違法な手段で情報収集する行為が、公共の利益を図る目的であれば正当化(違法性の阻却)され、それがNGOの調査活動にも認められるかどうかだ。裁判所が報道機関などの取材行為によって損なわれる利益と社会が得られる利益を比較して判断するのは珍しくない。

内部告発を巡る裁判では、正当行為と認めて違法性を退ける判決も出始めている。取引先への不正請求の内部文書を複写して内部告発した従業員の行為について、東京地裁は「形式的には違法とされる可能性のある行為であるとしても、真実であることを示すために必要な行為。正当行為として違法性は阻却される」と判示(07年)している。
一方、2人の逮捕を巡っては、国連人権理事会の「恣意(しい)的拘禁に関する作業グループ」が09年9月、「国際人権規約に違反する」との意見書を採択し、日本政府に国際基準にかなう手続きを求めた。

とされていました。この点については、私も、以前、

グリーンピース幹部ら2人逮捕へ 窃盗容疑で青森県警
http://d.hatena.ne.jp/yjochi/20080620#1213889812

とコメントしたことがあります。
法は守られなければならないものではありますが、大きな利益を守る、実現するために、小さな利益を犠牲にするということが、どうしても必要な場合もあり、そういった行為を一切禁圧すると、大きな利益を守り、実現することが困難になる、という場面は、社会が複雑になればなるほど、そういう社会だけに悪が巧妙に生き延びれば生き延びるほど、増えてくるものです。やはり、一定の範囲内では正当行為として違法性が阻却されることを認めて行く必要はあるでしょう。そういった分野での議論は、日本ではまだまだ活発とは言えない状況ですが、今後、行われる本件の上訴審や、また、本件を切っ掛けとして広がるであろう議論の中で、十分検討されなければならないということを強く感じます。