検察の不調の原因は? 検察は法執行機関の要として構造的、組織的な犯罪摘発のコーディネーターになるべき

http://astand.asahi.com/magazine/judiciary/fukabori/2010071900010.html
http://astand.asahi.com/magazine/judiciary/fukabori/2010071900010.html?page=2

現状の問題点について、かなり率直に語られていて、参考になりますね。

「特捜検察が仕事をするための基盤というか、検事がものを見る『足場』が細っているのではないか。ものごとを的確に判断する情報能力(インテリジェンス)が足りないということだ。もっと、情報を豊富にして、問題点を早く正確に見抜く能力を磨き、目の前にある事件の軽重を見極めることが必要ではないか」

という指摘は、今週金曜日に判決予定の、元厚労省局長の事件で報道されているような捜査経過を思い浮かべると示唆的です。
特に、

「検事の仕事は、それぞれの専門機関の情報を集め、その情報から世の中を見ていくのが基本。もっとそういう情報を生かせば、ものごとを幅広く考えられる検事になる。そういう観点で捜査していると、特捜検察の独自捜査事件でも、一本の線で突っ走っるような事件の立て方はしなくなる。逆に、検察が、自分の捜査のため、寄せられた情報の隙間を探そうという雰囲気になると、他の機関も協力しなくなる」
「従来の検察は、国税当局が告発してくる脱税事件からいろいろな情報を得ていた。いまは、うちなんかも少し、偽計事案みたいな幅広の事件を摘発するから、周辺にある情報量がすごい。そういう、ちゃんとした機関に足場を置いて、きちっとした情報の分析から内偵捜査をやっていくべきなんだ。なんか大海から釣り上げるような話に次々に手をつけるようなことはすべきではないと思う」

という指摘は、今後の検察庁における捜査というものの在り方を考える上で、進むべき1つの方向性を示しているように思います。
従来は、検察庁内の特捜部等の独自捜査を行う機能が、他の法執行機関と競合し、ライバル視して、という傾向が強く見られた面がありますが、「法執行機関の要として構造的、組織的な犯罪摘発のコーディネーターになる」ということを真剣に考えないと、元々、人も設備も乏しいだけに、どんどん地盤沈下が進んでしまう危険性が高いのではないかと感じました。