JASRAC、音楽教室に「潜入」2年 主婦を名乗り

JASRAC、音楽教室に「潜入」2年 主婦を名乗り:朝日新聞デジタル

JASRAC側が東京地裁へ提出した陳述書によると、職員は2017年5月に東京・銀座のヤマハの教室を見学。その後、入会の手続きを取った。職業は「主婦」と伝え、翌月から19年2月まで、バイオリンの上級者向けコースで月に数回のレッスンを受け、成果を披露する発表会にも参加した。

 刑事的には、建造物侵入罪が成立していた可能性があるでしょうね。

建造物侵入罪における「侵入」は、管理者の意思に反する建造物への立ち入りで、記事にある「ヤマハの教室」の管理者が、上記のような「潜入調査」と知っていれば立ち入りを認めなかった(その可能性は高そうですが)ということであれば、管理者の意思に反する立ち入り行為になるでしょう。犯罪構成要件は満たすことになります。

違法性のレベルで、阻却される(違法性がなくなる)理由があるか、ですが、JASRACはあくまで民間団体で、調査目的の侵入行為を正当業務行為と見るのは難しそうです。正当防衛とか緊急避難が成立するだけの急迫性、緊急性も感じられません。

こうした行為を警察、検察当局が立件する可能性もかなり低そうですが(まず無理でしょう)、理論的に整理すると問題は残る行為であり、潜入中にバレて建造物侵入罪で現行犯逮捕(私人逮捕)される、といったことは起きてもおかしくないでしょう。