最高裁第一小法廷平成21年7月14日決定ですが、判例時報2071号157頁以下に掲載されていました。
刑法96条の2にいう「強制執行」には民事執行法1条所定の「担保権の実行としての競売」も含まれるという判断が示されていますが、その背景には、旧競売法(現在は民事執行法に統合)の「競売」について、かつては刑法96条の2の「強制執行」に当たらないというのが通説であったとされ、最高裁第二小法廷昭和29年4月28日決定が、強制執行について「民事訴訟法による強制執行又は民事訴訟法を準用する強制執行」と定義しつつ国税徴収法による滞納処分が強制執行に含まれないとしたため、旧競売法が民事執行法に統合され、現在の通説が、担保権の執行としての競売を強制執行に含めるとする中においても、上記の29年決定に照らし、担保権の実行としての競売が強制執行には含まれないと解する余地がないわけではなかった、ということがあるでしょう。
その意味で、最高裁がこのような判断を示したことは、今後、疑義が生じる余地をなくしたことになり、実務上、少なからぬ意味があるものと思われます。