大阪地検、供述メモ廃棄…郵便不正事件

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20100202-00000724-yom-soci

捜査段階で作成されたメモは、最高裁が「開示対象の公文書」との判断を示している。弁護側は同被告が事件に関与したとする関係者の供述を否定しているが、「メモの廃棄は信用性の判断を妨げる行為」と批判する。

私の場合、検察庁で勤務していた当時は、取調べ用のノート(普通の大学ノート)を常に持っていて、そこに供述内容をメモして、事件の処分が決まった後でも、すぐには捨てずに保管していましたね。後日、言ってもいないことを調書化された、といった弁解が公判で出た場合に、それをもとにきちんと事実経過を明らかにするため保管していました。それがかなり役立ったのは、オウム真理教関係の取調べを巡ってで、平成9年に東京地検から静岡地検へ異動した後、時々、東京高検の控訴審担当検事から電話があって、取調べ経過を聞かれたので、手元で保管していたノートの記載に基づいて回答し、確か、該当部分をファックスで送ったこともあったという記憶です。
多数の被疑者や参考人を取り調べていると、1件1件についてすべてをはっきりと記憶しているのは困難で、そういったメモが残っていないとなかなか記憶喚起ができないものです。
記事にもある通り、供述メモについて、証拠開示の対象になるという判例も出ているので、最近の検察庁では、開示しなくて済むように捨てろ、という方針になってどんどん捨てているのでしょうか。しかし、捨ててしまうと、供述の任意性、信用性を積極的に立証する根拠も失われてしまい、さらに言えば、そういう大事なものを捨ててしまうのは持っているだけの価値がなく、逆に持っているとまずかったからではないかという、マイナスの推定(被告人、弁護人からはプラスの推定)が働きかねず、事件によっては検察庁にとって厳しい事態を招きかねないのではないか、という印象を受けるものがあります。