http://www.47news.jp/CN/200908/CN2009081001000758.html
一方、使用についても酒井容疑者は「夫と一緒に吸引した」と認める供述をしているが、尿検査の結果、覚せい剤反応は検出されなかった。
厚生労働省関東信越厚生局麻薬取締部は「使用を立証するには尿検査が一番の決め手」と話す。警視庁によると、吸引に使っていたみられるパイプやストローの付着物のDNA型が酒井容疑者の型と一致した。しかし、DNA鑑定や毛髪鑑定では使用の時期が特定できず、公判維持は難しい。
犯罪事実の立証なので、単に、被疑者が、覚せい剤を使用しました、と言っていたり、それを夫などが目撃していた、というだけでは駄目で、使用していたものが「覚せい剤」であったということが、きちんと鑑定で明らかになる必要があります。通常、被疑者の尿中から覚せい剤成分が出た、ということで、覚せい剤性を認定していますが、理屈としては、例えば、
1 発見、押収された覚せい剤が、使用した覚せい剤の残余であるということで、覚せい剤性を認定する
2 一緒に同じ覚せい剤を使用した者がいれば、その者の尿中から検出された覚せい剤成分で、覚せい剤性を認定する
3 毛髪鑑定の結果から、覚せい剤性を認定する
ということも、絶対にできないわけではありません。上記の1や2については、最近は立件例を聞きませんが、過去にはそういった立件例もあったのではないかと思います(文献で読んだような記憶があります)。上記の3については、毛髪鑑定の結果では、使用時期の特定が困難で、それによる立件例はないはずです。
ただ、現行の実務では、覚せい剤使用罪について、尿中から覚せい剤成分が検出されたことで、体内に覚せい剤が入った、ということを疑いなく認定し、尿中への排出期間(通常は1週間程度で排出されるとされるが実務では2週間程度の範囲で特定)により犯行時期を一定期間の範囲内で特定する、という手法に依っているため、それ以外の認定方法、例えば上記の1、2のような手法では、認定の根拠となる覚せい剤が、はたして実際に使用した覚せい剤のものと言えるのか、という疑問が生じた場合、疑問を払拭しきれない可能性が出てくることから、尿中の覚せい剤成分以外による認定は、通常、行われていないというのが実状でしょう。
先に、本ブログで、
http://d.hatena.ne.jp/yjochi/20090810#1249831162
とコメントし、上記の記事でも指摘されているような不起訴の可能性は、あくまで可能性ですが、やはりあるということにはなるでしょう。