「時効殺人」賠償が確定=除斥期間適用せず−26年後自首の加害男に・最高裁

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090428-00000091-jij-soci

遺体を自宅の床下に26年間埋めたまま、被害者の死亡を隠し続けた行為に対し、除斥期間を適用すべきかどうかが争点となった。同小法廷は「被害者の死亡を相続人が知り得ない状況を、加害者があえて作り出して20年が経過した場合に、相続人が一切の権利を行使できなければ、正義、公平の理念に反する」との判断を示した。 

高裁判決の際には、

http://d.hatena.ne.jp/yjochi/20080201#1201792291

と、やや疑問を感じたコメントをしましたが、最高裁のサイトにアップされた判決文を読んでみて、民法

(相続財産に関する時効の停止)
第160条
相続財産に関しては、相続人が確定した時、管理人が選任された時又は破産手続開始の決定があった時から6箇月を経過するまでの間は、時効は、完成しない。

という規定の立法趣旨を、除斥期間の適用制限へとうまく結びつけていて、妥当な判断ではないかという印象を受けました。
若くして非業の死を遂げた被害者で、刑事事件では公訴時効が成立し、お気の毒と言うしかない状態でしたが、民事では遺族による損害賠償請求が認められた上、こういった重要な判例を生み出し、今後の同種事件(こういったケースは今後も出てくる可能性があるでしょう)への影響にも大きなものがあり、その死が、単なる死では終わらなかった、というところに、大きな意義を感じます。
被害者のご冥福をお祈りしたいと思います。

追記:

判例時報2046号70頁(最判平成21年4月28日)