羽賀研二被告:無罪判決…渡辺二郎被告も 大阪地裁

http://mainichi.jp/select/today/news/20081128k0000e040019000c.html

羽賀被告は知り合いから1株40万円で買った医療関連会社(02年破産)の未公開株を01年6〜10月、不動産会社社長に不当な高値の1株120万円で計300株を売りつけ、現金3億7000万円(仲介料を含む)をだまし取ったとして逮捕、起訴された。
裁判では、社長が羽賀被告の入手価格を40万円と知った上で、3倍の120万円で買ったかが争点となった。「伝えた」とする羽賀被告側と、「聞いていない」と主張する社長側が対立した。
中川裁判長は判決で「株売却は不動産会社社長が強く求めたと認められ、社長の証言に全幅の信頼をおくことはできない。社長が3倍の値段と知って買うと話したとする(被告側証人の)証言も信用性がある」と羽賀被告側の主張を認めた。恐喝未遂については「詐欺が成立しないので、恐喝の前提となる債権は認められない」と無罪理由を述べた。
恐喝未遂では、羽賀被告が渡辺被告らと共謀し、だまされたとして別の貸金も含め約4億円の返還を求めた社長を1000万円で帳消しにするよう脅したとされた。羽賀被告は現場にいなかったため、共謀の有無や、騒動後に羽賀被告が渡辺被告に払ったとされる3000万円の趣旨などが争われた。
検察側は3000万円を恐喝の謝礼としたが、判決は「借金の返済とも推測され、謝礼との証明もない」と退けた。

証拠を見ていないので、無罪理由の詳細やその妥当性はよくわかりませんが、上記の記事を見る限り、被害者供述の信用性にかなり疑問が生じたようで、それが、検察・警察ストーリーの全面崩壊、無罪へとつながったという印象を受けます。
この種の対面犯で、被疑者、被告人が全面否認しているような場合、被害者供述の信用性をいかに確保するか、ということが事件の有罪、無罪の決め手になる場合が多くなります。供述調書の筆先三寸、捜査機関に迎合した被害者証言のレベルでは何とでもなりますが、否認する被疑者、被告人、弁護人側の熾烈な反対尋問、反証にどこまで耐えられるか、ということを、起訴前に徹底的に検証しておかないと、公判で思わぬ背負い投げを食ってしまうことがあります。
この事件で、捜査がどれだけ徹底して行われていたかはよくわかりませんが、無罪判決が出るくらいですから、かなり反省すべき点があったことは容易に推測され、そういった問題点は、今後、控訴ができるかどうか(大阪高検がこの無罪判決をどう見るかがポイントでしょう)、控訴できたとしていかに大阪高裁に有罪方向での心証を持ってもらえるか、ということに直結することになると思います。