不正アクセス行為の禁止等に関する法律8条1号の罪と私電磁的記録不正作出罪との罪数関係(最高裁平成19年8月8日第二小法廷決定)

判例時報1987号159ページに掲載されていました。オークションに絡んで、ヤフーのサーバコンピュータに不正アクセスされた、という事案で、原審は大阪高裁ですが(平成19年3月27日判決)、原審段階で、ここには現れていない問題があるということで(そこが、判例時報のコメントで「原判決は、一審判決の一部犯罪事実の認定に誤りがあるとして職権で破棄し、これを是正した事実により自判している。」とされている点なのかもしれません)、まだヤフーで仕事をしていた私も少し相談を受けたことがあり、記憶に残っていました。
上記の罪数関係について、この決定では併合罪という判断が示されていて(ただ、判例時報のコメントでは、決定の書きぶりにつき「事実関係いかんによっては両罪が観念的競合になる場合もありうると考えられることに配慮したものと思われる」とされていることにも注意を要します)、この種の犯罪でこういった形で両罪が問題になることは今後も多いものと思われますから、特に、裁判官、検察官は、きちんと押さえておくべき判例、という印象を受けます。