「関ヶ原(下)」

 

上、中に続いて下巻を読み、久しぶりに通読することができました。私の関ヶ原観は、この本で形成されていると言っても過言ではなく、改めてしみじみ、傑作であると感じるものがありました。

以下、ネタバレになってしまいますが、最後に、黒田官兵衛石田三成を評して、あの男は成功した、と述べているのが、非常に優れた総括になっていると言えるでしょう。豊臣秀吉亡き後、石田三成のような寵臣ですら徳川家康に媚を売ったとなれば世の姿は崩れ人はけじめを失い、そこまで裏切られた秀吉の惨めさは計り知れない、と。義とは何か、利や欲との緊張関係、そこを巡る人間模様といったことを、関ヶ原という舞台が赤裸々に物語っていることを感じます。

今は通読後の余韻に浸っています。