市民司法参加、手法にお国柄 裁判官100人が視察

http://www.asahi.com/national/update/0808/TKY200708080322.html

裁判員裁判になると、参加する市民に過度な負担をかけないために、主張・立証する争点を絞り、事実を認定する「核心司法」に転換していくことが必要とされる。
参審制と陪審制が併存するデンマークの裁判を視察した裁判官は、事件の核心部分に徹底的に絞った形で証人尋問が行われていることを報告した。それが可能な理由として、法曹三者の関係が緊密で成熟した大人の関係が成立している▽社会的背景として刑事裁判に動機を含めた全体像の解明が求められていない――ことを挙げた。
ただ、日本でも可能かどうかは「方向性としてはデンマークのような運用を実現しなければならないが、弁護人の意識や国民性の問題から難しいと思う」と語った。

確かに、従来の日本の刑事裁判には、徹底した真実解明を追及する傾向がありましたが、上記のような「核心司法」に転換して行くためには、捜査・公判の在り方、特に検察官による立証の在り方というものを大きく変えて行く必要があるでしょう。今までは、微に入り細にわたった冒頭陳述を行い、山のような証拠を提出し、不同意等になれば延々と立証して行く、というのが検察官の立証スタイルでしたが、ポイントを絞り、解明すべき真実は解明しつつ落とすべきところは思い切って落とし、量刑についても適正妥当な判断がされるように必要な資料は出して行く、ということが、検察官には大きく求められると思います。
弁護人としても、検察官が設定した土俵に安易に乗る必要はありませんが、主張・立証にメリハリをつけるべきで、重箱の隅をつつくようにありとあらゆることを言ったりやったりする、という、従来、一部にあったスタイルは、改めて行く必要があると思います。
裁判所や検察庁は、組織力に物を言わせ、裁判員制度へ向けて着々と準備を進めているようですが、それに対し、弁護士や弁護士会の対応はかなり遅れていると言わざるを得ず、憂慮されるところです。