美濃加茂事件の控訴審始まる 検察側証人の採用認める

http://www.asahi.com/articles/ASH8T4PQCH8TOIPE00R.html

検察側は、中林受刑者の取り調べを担当した警察官の証人尋問を請求。これに対し、弁護側は「一審では弁護人が請求したが検察側が反対した。控訴審で採用される余地はない」と主張した。高裁は「必要性は肯定できる」として、第2回(11月26日)で、証人尋問を行うことを決めた。

検察官控訴事件で、こういった検察補充立証が高裁で認められた場合、

・高裁が、検察官控訴を認める方向で検討している

という見方と、

・高裁は控訴棄却方向で考えているが、検察の「顔を立てる」ために、やらせるだけやらせている

という見方の、両方の見方が可能です。
刑事裁判官、特に高裁の裁判官は、どこの馬の骨かもわからない弁護士の顔を立てるという発想は皆無ですが、検察に対しては、例えば、検察立証をさせずに検察にネガティブな判断を示すと「あの裁判官はおかしい」といった評判を立てられ、それが回り回って最高裁の耳に入り、寂しげなところに飛ばされたり冷や飯食いになるのは避けたいという心理が微妙に働いて、「顔を立てる」ということはありがちです。刑事裁判というのは、そういう、いびつな面を持っているものです。
その意味で、検察は、上記のような経緯から、これは行けるかしれないと期待し、被告人、弁護人としては、後者であろうと確信しつつも一抹の不安を感じざるを得ない、というところでしょうか。
この種の事件で、「収」側が全面否認していると、結局のところ、認めている「贈」の供述が信用できるかどうかが結論を左右し、裁判官の胸先三寸ということになりやすいものです。地裁の裁判官は信用できないと見ても、高裁の裁判官が信用できると見る可能性は、あくまで可能性としてはあるわけで、その際に、上記の補充立証が信用性肯定の材料として使われることは大いにあり得ることです。
私自身としては、1審の認定状況から、検察逆転は難しかろうと見ているのですが、

http://d.hatena.ne.jp/yjochi/20150306#p2

高裁が検察の救世主になる、というのは、刑事司法の世界にありがちなパターンですから、予断を許さないものはあると感じています。