被告自殺、面会室の空白1時間20分…署員確認せず

http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20070807i205.htm

同署によると、弁護士は接見する際、備え付けの用紙に氏名、住所、留置人との関係などを記入し留置管理課員に提出。弁護士と容疑者は広さ10平方メートルほどの留置人面会室に、それぞれのドアから入室し、ガラス越しに会話する。その間、警察官はそばにいることはできない。30分程度接見する弁護士が多いが、時間制限はなく、夜間でも容疑者が応じれば接見できるという。県警留置管理課によると、県内20署のうち、4署では留置場に呼び鈴があり、接見する弁護士や家族らには、接見終了後、呼び鈴を鳴らすように掲示しているという。
しかし、弁護士は「呼び鈴のことは知らなかった。署からも教えてもらっていない」と説明している。

私も、いろいろな警察署で被疑者や被告人と接見しますが、警察署の場合、接見終了を知らせる呼び鈴やブザーなどが備え付けてあるところは比較的少なく、接見が終了すると、被疑者や被告人が背後のドアをノックして「終わりました」などと声をかけ、留置場へ戻る、というところが多いように思います。その際、係員がすぐに連れに来る場合もありますが、そうではなく、係員が来るまで被疑者や被告人が待機状態になっていることもあり、弁護士は、そういった待機状態のままで接見室から出るのが普通でしょう。そうすると、接見室内で、被疑者や被告人が1人だけになる(そもそも弁護人接見の際に立会人はつかないので)時間ができる、ということは、確かに生じてきます。
接見室によっては、被疑者や被告人側の背後のドアにのぞき窓のようなものがあって、事故防止のため背後から係員がのぞける構造になっている場合もありますが、「秘密」交通権の趣旨から微妙な問題があり、運用として、そういうのぞき窓のようなものがあっても係員がじろじろとのぞき込むようなことは、通常はないと思います。そうすると、弁護人が接見室外へ出て行く、被疑者や被告人だけが接見室内に残り、係員がすぐに連れに来ない、という状態になって、自殺、という最悪の事態が生じるということが起きる余地が出てきてしまいます。
対策としては、弁護人が接見室を出たことを確実に確認し、被疑者や被告人を確実に接見室外へ出して留置場へ戻す、ということを徹底するしかないでしょう。その辺が、従来の運用では、何となく曖昧になっていた、という側面は、確かにあるように思います。