手紙制限は「弁護権侵害」 国と滋賀県を提訴

http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2010040601001039.html

訴状によると、提訴したのは村岡美奈弁護士で、組織犯罪処罰法違反などの疑いで逮捕された男2人の弁護人を2月に受任。拘置の必要性を争う資料とするため、家族への思いを手紙にまとめるよう2人に依頼した。しかし接見禁止を理由にそれぞれの拘置先の近江八幡署と草津署で手紙の受け渡しを拒否された。

接見交通権は憲法に由来する重要な権利で、その制約は、物の授受にあっても、保安上等の必要最小限度のものにとどまる必要があります。手紙の内容から、接見禁止を潜脱するものという判断を捜査機関側がした可能性がありますが、刑事訴訟法は、捜査機関側によるそういった裁量の行使というものをそもそも想定していないと見るべきで、上記のような手紙の取り扱いには、違法の疑いが濃厚ではないかという印象を受けます。当然のことですが、弁護人としても、被疑者、被告人と弁護人以外の者との物のやり取りを仲介し接見禁止を潜脱するような行為を行うべきではなく、そういった行為に及んだ場合は、懲戒による制裁を受けることもあります。
今後の裁判所における判断が、数多くの接見交通権を巡る裁判例を、より豊富なものにすることになるでしょう。